千葉県船橋市にあるヘアーサロン「peace」。ここで日々、営業部長として接客に励んでいるのが、おっとり屋のぽん太郎くん。
しかし、今の生活を掴むまでにはさまざまな苦労が。実はぽん太郎くんは動物愛護センターに2度収容され、殺処分対象になっていた猫でした。
先代猫・らん丸くんが亡くなり、ペットロスに
出会いのきっかけは、3年前にさしみさんの遠い親戚が3匹の老犬を遺して急死してしまったこと。さしみさんはFacebookを通して、保護活動をしている友人に頼み、犬たちを保護してもらい、その日から保護団体の活動をチェックするようになりました。 そんな時、先代猫のらん丸くんが亡くなってしまい、悲しみのドン底に。ペットロスとなったさしみさんは自分の心が少し整理できた段階で、老犬の保護を頼んだ友人に新しい猫を迎え入れたいと相談しました。 「先代猫が次の世代に残した席に1匹でも愛される子が座れればいいなと。次は女の子にしようと家族と話していました」 後日、さしみさんは友人が立ち上げた保護団体に女の子を見に行くことにしました。そこで同時に紹介されたのが、おにぎりのようにずんぐりむっくりな見た目のぽん太郎くんでした。
動物愛護センターでの生活を2度も経験したぽん太郎
「ぽん太郎は雪の日に愛護センターから引き出されたので、ゆきおと名付けられていました。寂しさから、頭とお腹に脱毛がありました」 聞けば、ぽん太郎くんは子猫の頃に一度、愛護センターに収容されており、その後、家族が見つかったものの、飼い主さんが孤独死してしまったため、再び愛護センターに戻ってしまった子でした。
「人懐っこく穏やかなのに、当時5歳の成猫だったため、なかなか家族が見つからず、収容期間を過ぎてしまい、殺処分対象になっていたそうです」 一度は愛される生活を手に入れたのに、また死が刻々と迫りくる生活に戻ってしまったことに、さしみさんはやりきれない気持ちになりました。
しかし、そんな境遇であるのにも関わらず、ぽん太郎くんは人が大好きで、初対面時にはさしみさんに自らスキンシップ。 「クールな先代猫と真逆で戸惑いましたが、見ていておもしろく、ペットロスで毎日泣く日々を送っていた私が心から自然に笑えたんです」
里親になることを希望していた女の子にはすでに他の方から声がかかっていたこともあり、さしみさんはぽん太郎くんに「ずっとのおうち」をあげ、家族になることを決意します。まだ誰にも魅力が伝わっていないぽん太郎くんを、精一杯愛そうと心に誓いました。