突然甘い声で鳴き出したり、トイレ以外でおしっこをしたり。いつもとは違う愛猫の行動に「どうすればいいの?」ととまどってしまう飼い主さんは少なくないでしょう。
猫の発情期は年1回だけではなく、その期間も7日から10日と続きます。発情期は自然な行動ですが、近隣トラブルに発展する可能性も少なくありません。
発情期が飼い主さんのストレスにならないよう、どんな対処が必要なのかチェックしていきましょう。
1.猫が発情する季節は?
猫は、子育てのしやすい「春」と「晩夏から初秋にかけての時期」に発情期を迎えます。
季節性多発情繁殖動物と呼ばれ、発情期が訪れるのは年2、3回。メス猫は1回の繁殖期間中に何度か発情し、呼応するようにオス猫が発情します。その期間は、短くて4日、長くて20日、平均7日から10日程を想定しておくと良いでしょう。
期間中、メス猫は「発情前期」「発情期」「発情後期」「発情休止期」の周期で発情を繰り返しますが、オス猫に周期はありません。発情したメス猫の声やフェロモンに触発されて発情し、「大きな声で鳴く」「トイレ以外の場所でおしっこをする」「脱走しようとする」などの行動が見られるようになります。
メス猫の発情は栄養状態や健康状態といった体調に左右されます。
また、日照時間が1日12時間、13時間を越えると発情しやすくなるという説も。
室内飼育の場合は室内照明によって延長してしまい、冬に発情した事例も報告されています。
2.初めて発情するのは生後何か月?
メス猫は一般的に、生後6か月齢から12か月齢で性的に成熟し、1回目の発情期(初回発情)を迎えます。
現在の猫は発育状態が良いため、生後4か月齢で発情期がくる場合も。さらに、短毛種は早い傾向、長毛種は遅い傾向があり、特にペルシャ猫は1.5歳以上で初めての発情が来ることもあります。初回発情を迎える猫の平均体重は2.3~3.2kg。成猫の8割程にあたります。体が完全に成長していなくても発情は訪れますが、初回は体が未熟なので交配は避けた方が良いでしょう。
一方、オス猫の性成熟はメス猫に比較して遅く、生後7か月齢~9か月齢頃、精巣内に精子が作られます。
オス猫は単独で発情することはありません。メス猫の声や匂いに反応して発情すると、大声で鳴いたり、外に出たがったりするようになるでしょう。
外出させるとメス猫をめぐって他のオス猫とけんかを繰り広げることもあるので、注意が必要です。
3.発情期に見られるメス猫の行動とその期間・対策は?
メス猫の発情周期は「繁殖季節」と「非繁殖季節」にわかれ、繁殖季節中に妊娠や偽妊娠を起こさなければ「発情前期」「発情期」「発情後期」のサイクルを繰り返します。
発情中の姿が愛らしいと避妊を選択されない方もいらっしゃいますが、近隣への配慮や愛猫のストレスを考えて、避妊を希望される飼い主さんの方が少なくありません。
発情期の行動と対策を知り、じっくりと検討しましょう。
- 発情前期
- 発情期
- 発情後期
- 発情休止期
発情前期
活動的になり、「飼い主さんに甘えてすり寄ってくる」「首や頭をこすり付ける」という行動が多くなるでしょう。
この時点で、オスを許容することはありません。排尿回数が増え、トイレのしつけが済んでいてもトイレ以外で排尿するケースがあります。
犬と異なり、陰部の腫大や乳腺のふくらみなど外部から見た肉体的な徴候はほとんどありません。
期間は通常1日程ですが、もう少し続くことを想定しておきましょう。
食欲が落ちてしまう子や粗相をしてしまう子もいますが、発情に伴う症状ですので避妊によって治まります。
発情前
発情前期の動作が活発になり、ワォワォと吠えたり、巻き舌でグルゥゥゥンと鳴いたり、特徴的な声で鳴くようになります。「飼い主さんの足に体を巻きつけて甘える」「色っぽく腰をくねらせる」「床に転がってもだえるようなしぐさをする」という子もいるでしょう。
尾の付け根あたりを優しく触ると、伏せた状態で腰を少し高くし、尾を外巻きにして、足踏みするといったディスプレイ(ロードーシス)が見られるようになります。
この頃にはオスのマウンティングを許すようになります。7日から10日程続きますが、短くて4日、長くて20日程度。期間中、メス猫は外に出たがるので室内猫は脱走に注意してください。
犬と違い、猫の発情は出血がまったく見られません。陰部から出血している場合は膣や子宮、膀胱といった泌尿生殖器の病気の可能性が高いので、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
発情後期
発情期に続いて発情後期がやってきます。この期間中、猫はまったく発情行動を示しません。発情期に交尾しなかった場合、交尾しても排卵が起こらなかった場合には約7日間、この時期が続きます。
この間に、卵巣で新たな卵胞が発育して、再び発情前期に移行していきます。
発情休止期
オスと複数回交尾すると排卵が起こり、黄体が形成されます。
排卵しても受精が行われなかった場合、黄体は40日から50日で萎縮・退行していきます。この状態を偽妊娠といいます。
時には交尾しなくても排卵し、偽妊娠の状態になることも。犬と異なり、お腹がふくらむ、乳腺が発達するという徴候はありません。
無事に妊娠すれば、黄体は赤ちゃんを育てるために長く存続し、約2か月後にかわいい子猫が生まれます。