スパイスカレーの伝道師としてさまざまなメディアで活躍する印度カリー子さんがスパイスカレーの魅力に開眼したのは、まだ大学生だった6年前。インドカレー好きの姉のためにスパイスカレーを作ったことがきっかけで、そこからすぐにレシピ紹介ブログの開設、スパイスショップの立ち上げと、自身が感じたスパイスカレーの魅力を世に伝えるために動き出しました。

「カレーで人生が変わった」東大の院でスパイス研究・印度カリー子25歳。スパイスは“ダイヤの原石”
(画像=『女子SPA!』より引用)

印度カリー子さん

 大学卒業後に進学した東京大学大学院でもスパイスの研究を行うなどスパイス漬けの日々を送り、『印度カリー子のスパイススープ』(世界文化社刊)などレシピ本も次々に出版。社会人となった現在は、スパイス料理研究家&スパイス専門店代表取締役として幅広く活動しています。

 もはやスパイスカレー業界を牽引(けんいん)する存在となったカリー子さんですが、実はスパイスカレーに出合う前は「将来の夢も希望もない本当につまらない人間」だったと語ります。そんな彼女をここまで惹きつけ動かした“スパイス”というものについて、話を聞いてみました。

初めて出合った“のめり込めるもの”がスパイスだった

――カリー子さんにとってスパイスカレーは人生で一番ハマったものだそうですが、それまでは何かに強く興味を持ったことがなかったんですか?

印度カリー子さん(以下、カリー子): そうですね。私は基本的に飽きっぽいし、のめり込んだものはなかったです。のめり込めるものに出合っている人が不思議なくらいで。それが、スパイスカレーが実はすごく単純な構造で、たまねぎ、トマト、にんにく、しょうが、お肉などの材料と少しのスパイスを合わせるだけでできるということを知ったときに、「すごいものを見つけてしまった」とダイヤモンドの原石を見つけたような感覚に陥ったんです。

――想像以上の簡単さに魅せられてしまったんですね。

カリー子: 簡単さだけでなく、素材を変えるだけでまったく違った味わいになるアレンジ性の豊かさや、使う素材の普遍性と安価さにも魅力を感じました。それと同時に「こんなにも魅力的な料理がなぜ広まっていないんだろう」とも思ったんです。で、その原因は“わかりにくさ”にあるのではないかと考え、初心者に寄り添ったレシピを書くことと、初心者のためのスパイスショップを始めたわけです。

知れば知るほど苦手だったスパイスが好きに

――意外ですが、カリー子さんはスパイスそのものはもともと苦手だったそうですね。

カリー子: そうなんです。最初は人間の本能的に異物だと思って警戒していたというか。でも、自分で毎日カレーを作るようになって、知れば知るほど好きになっていきました。

「カレーで人生が変わった」東大の院でスパイス研究・印度カリー子25歳。スパイスは“ダイヤの原石”
(画像=『女子SPA!』より引用)

――だんだんスパイスを好きになっていくなかで、特に感動したスパイスは?

カリー子: スターアニス(八角)ですね。よく中華料理や台湾料理に入っている甘い独特の香りがするスパイスなんですけど、これをカレーに入れるとエスニック感が増して本格度が上がりつつ、さらにおいしくなるんです。初めて使ったときにすごく感動して、今でも一番好きなスパイスですね。

――スターアニスをカレーに使うというイメージはありませんでした。

カリー子: スターアニスを使ったカレーが出るのはインドの中でも一部の地域に限られていますからね。でも、甘みや深みが出て本当においしいですよ。