ZAZYと「デジタルVSアナログ」で決勝対決
――決勝ファイナルステージは、ZAZYとラストイヤー同士の激戦になりましたが…。
「ZAZYさんも面白かったですね。無歯! 去年の紙のフリップから、画像がモニター出しになり、視認性・テンポが格段に上がりました。 アコースティックギターのしんいちさんとは、奇しくも『デジタルVSアナログ』の対決に。
2人のFinal ステージ進出に異論はありませんが、2位で同点となった吉住さん、渡部おにぎりさんの2本目も見たかったです」
お見送り芸人しんいちが成功したのは?
――優勝したお見送り芸人しんいちのネタをどう見ましたか?
「ピン芸は『ツッコミがないので作るのが難しい』と言われることがあります。 確かに、ツッコミがあると、お客さんに『ここが笑うところですよ』と提示できるので、笑ってもらいやすくなります。 ピン芸には当然、それができません。 (稀に自分で自分にツッコむスタイルのネタもありますが)
そんななか、お見送り芸人しんいちさんの1本目『僕の好きなもの』では、『好き』という言葉が、必ずフレーズの最後に来ていました。 この『好き』という言葉が、ツッコミとは違いますが、『ここが笑うところですよ』の役割を担っていました。 それがあるだけで、お客さんは安心して笑うことができます。 それがないと『あれ? ここで笑っているの私だけ?』ということになりかねません。 お客さんも、特にテレビの収録、ましてや賞レースでは、そんな思いはしたくありません。 ほとんどの人が、みんなが笑うところで思いっきり笑いたいのです。 みんなが笑うところで思いっきり笑う人が増える、ということは、当然、大きな笑いが起きます。
また、このことに成功していると、『聞くところ』『笑うところ』のコントラストがはっきりしてくるので、大きな笑いが起きたところが、さらに際立った印象になります。
しんいちさんはたった2文字の『好き』という言葉で、『ここが笑うところですよ』の提示に成功しました。 2本目の『応援するよ』は、それ単体で見れば『好き』ほどその構造にはなっていませんが、もう、しんいちさんの手口はお客さんにいい意味でバレていたので、笑うところはわかっています。 みんな安心して笑っていました」