インターネットで簡単に世界とつながれるようになった今、「通訳者」という言葉を聞かれたことがある方も多いと思います。ですが、もしかしたら実際に通訳サービスを使ったことはあまりないかもしれません。 通訳者ってどんな人?英語が喋れればできるんじゃないの?そんなふうに思われる方もいるのはないでしょうか。
そこで今回は通訳・翻訳エージェントであるテンナイン・コミュニケーションが通訳サービスを利用する際のコツを皆様にご紹介いたします。 もちろん普段から通訳サービスや通訳者を利用しているという方にもきっとためになる情報だと思いますので、是非ご一読ください!
1.通訳って?
通訳者の仕事自体を想像することはきっとそれほど難しくはありません。別の言語を話す2者の間に立ってそれぞれが話したことをお互いの言語に訳し、コミュニケーションをサポートするのが主な仕事です。
しかしながらただ話したことを伝えるだけといっても言葉でいうほど単純なことではありません。話者の国の文化、慣例への知識、相手の言葉をくみ取る理解力、その場の空気を読む判断力と瞬発力などなど、通訳する一瞬に様々な技術が詰まっています。
過去テンナインで対応した一例をご紹介しましょう。
その案件では会議の前に段取りを確認する事前打ち合わせが行われることになりました。会議当日は通訳が入る予定でしたが、この時は事前打ち合わせということもあり、日本側もある程度英語のわかる方が参加され、通訳者を含めすべて英語でのコミュニケーションとなる予定でした。ただ日本側は英語を話すのがあまり得意というわけではなかったため、当日の進行や資料の有無を確認するだけの簡単な内容にもかかわらず打ち合わせは難航しました。そこで見かねた通訳者がその場で通訳を始めたのです。それをきっかけにお互いに言いたいことがうまく伝わらなかったのが嘘のようにスムーズに打ち合わせを進めることができました。お客様にも通訳者さんがいるとやっぱり違うねと感謝の言葉をいただいた事例です。
通訳者は言語のプロフェッショナルです。瞬時にその場で適切な訳をするためにはたくさんのトレーニングと日々の勉強が不可欠です。 大事な会議や商談では少しのコミュニケーションミスが命取りになることもあるかもしれません。逆に、ストレスなくお互いにコミュニケーションが取れれば会議の満足度は格段に上がるでしょう。
通訳者や通訳エージェントの一番の目標は依頼いただいた会議が成功すること。そのために日々努力を続けています。ただ、私たちの努力だけではどうしてもカバーできないことも出てきます。実施する会議について一番よく知っているのは依頼を下さるお客様だからです。会議の成功にはお客様のご協力も不可欠なのです。
2.通訳者ってどんな人?
通訳者ってTOEICで言うと何点ぐらいの人なんですか? お客様からよく聞かれる質問のひとつです。正直に言えば点数で表すことは難しいのですが、第一線で活躍している通訳者のほとんどがTOEICで満点を取ることができるレベルです。
よく言われるのが通訳者は日々受験勉強を続けているようなものだということです。以前にもお伝えしましたが、通訳者は言語のプロフェッショナルであり、通訳というのは専門職です。瞬時に適切な言葉を選んで別の言語に変換するためには、途方もない勉強とトレーニングが必要なのです。通訳者を目指している方の中にはちょっとした隙間時間でも勉強できるよう常に単語帳を持ち歩いていたり、トイレの時間を最短で済ませるために入り口から一番近い個室に入ると決めていたりする方もいます。
通訳者が同時通訳の際にどれくらい複雑なことをやっているのか、皆さまが体感しやすいような例を挙げてみましょう。紙とペン、そして適当な動画をご用意ください。動画を再生し、口ではその動画から流れてくる言葉を繰り返しながら、紙に1から順に数字を書いてみましょう。話を聞いて理解し、それを瞬時に別の言語に変換して話す、という同時通訳の疑似体験です。今回は別の言語に変換するという作業を数字を書くという比較的単純な作業に置き換えていますが、きっと多くの方は手や口のどちらかが止まってしまうなど、苦戦したのではないでしょうか。通訳者がただ英語を話せるだけではだめで、トレーニングが必須だという理由をおわかりいただけたのではないかと思います。
さて、ここではもう1つ、通訳者の働き方についてもご紹介しましょう。
エージェントから会議ごとにお客様に手配する通訳者はフリーランスの者がほとんどです。多くの通訳者がいくつかの通訳エージェントに登録をし、そこから紹介される仕事を受けています。
私たちエージェントはお客様から「先の会議予定は未定だけれどずっと同じ通訳者に対応してほしい」、「会議日程が変更になったけれど前と同じ通訳者がいい」といったご要望を大変たくさんいただきます。
しかし、先ほどお伝えしたように多くの通訳者はその会社専属で働いているわけではありません。スケジュールが空いていれば優先的にお手配していますが、予定が埋まってしまっている場合もあります。もちろんその際は人柄やスキルを考慮し最適な別の通訳者をお手配しますが、気軽な時間や日程の変更が難しいことは、ぜひ心に留めておいていただけると嬉しいです。
3.通訳依頼をするときって?
外国人が入るグローバル会議。通訳を依頼したいけれどどんなことを伝えたらいいの?そんな疑問があるかもしれません。問合せいただく際はまず以下項目をご連絡ください。
■会議の開始、終了時間
■会議の開催場所(オンラインの場合は会議ツールなど)
■会議の詳細・アジェンダ(開催経緯・目的・ゴールなど)
■参加者(役職・人数・どんな立場の方なのか)
■(もしご希望があれば)同時通訳か、逐次通訳か
■資料があるかどうか
きっとなぜこんなにたくさんの情報が必要なのかと疑問に思われる方もいるでしょう。 しかし、通訳者にとってはどれもとても大事な情報なのです。
例えばあなたが、まったく何の情報もない会議に参加することになったとしましょう。資料もない、参加者もわからない、どんな話をするのかも聞かされていない、そんな状況で会議の内容が理解できるでしょうか? 通訳者もそれは同じです。 内容が事前にわかっていて準備も下調べもしっかりできている会議と、まったく事前情報がないぶっつけ本番の会議では通訳の精度に影響が出るのは理解いただけるのではないでしょうか。 通訳エージェントは時に面倒だと思われるくらい資料はないかと皆様にお尋ねすると思います。 しかしながら通訳者が完璧なパフォーマンスを発揮し、質の良い通訳を皆様にお届けするには事前情報や資料が不可欠なのです。 当日、資料を使わない会議もあるでしょう。ですがその場合もどんな話をするのか、どんな目的の会議なのか、ぜひ面倒がらずに手元にある情報をエージェントや通訳者に伝えてください。そのひと手間で通訳の満足度が大きく変わるのです。