『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

デザイナーが左右非対称を採用する理由は?

流行遅れに見えない服とは?実は“定番”より“左右対称じゃない服”が長く着られる
(画像=『女子SPA!』より引用)

左右非対称のアシンメトリーデザイン (※画像:Amazonより)

 いつの時代も多くのデザイナーが提案しているにもかかわらず、街歩く人を見てみても、着ている人が非常に少ないのがアシンメトリー、つまり左右非対称のデザインのものです。

 パターンを作るのにも工夫が必要で、左右対称のものよりも生地の用尺がより多く必要になるアシンメトリーのデザインを、なぜ多くのデザイナーは採用するのでしょうか。

 その一つの理由は、ほかと違うものを作るためです。

同じものを着るだけでも我慢ならない

 自分のオリジナリティを出すために、凡百の平凡なデザインでは飽き足らない彼女彼らは、まず左右のデザインを変えてみることを試みます。デザインを学ぶファッション学校の学生たちも同じです。かくいう私も文化服装学院の学生時代、左右非対称のデザインのブラウスを作りました。

 ではなぜ、ほかと違うものを作る必要があるのでしょうか。それはデザインを学ぶような学生たちにとって、誰かと同じということは忌み嫌うべき事であるばかりではなく、屈辱的で堪えられない事態だからです。

 学生時代の出来事で今でも覚えているのが、仲が良かったママダさんという実家が縫製工場のクラスメイトが言ったセリフ。

「聞いてよ、小林さん。隣の席の〇〇ちゃん、私に、そのスカートどこで買ったのとか、そのブラウスはどこのとか、いちいち聞いてくるのよ。それでさ、それを教えてあげると、次の日、同じものを買って着てくるわけ。私、頭きて、〇〇ちゃんが買って着てきた同じもの、全部捨てたわ!」 と、ひどくおかんむりのご様子で訴えてきました。

同じものを着てくることなど我慢ならないのですから、同じものをデザインするなど言語道断。言葉には出してはっきりとは言いませんが、なんでも真似する人はできる子たちから見れば、心底軽蔑すべき存在だったのです。

 そこで他人と差別化を図るために使うのがアシンメトリーというテクニック。左右別にしてしまうと、誰かとかぶる可能性はぐっと下がります。そのためデザイナーやファッション学校の学生たちはそのテクニックを使用するのです。

アシンメトリーのデザインが選ばれないのは…

 そんなデザイナーやその卵たちが大好きなアシンメトリーのデザイン、実際にそれを選ぶ人はとても少ないです。では、なぜ多くの人はアシンメトリーのデザインのものを選ばないのでしょうか。

 本当のところはわかりませんから、これは推測です。 

 第一に、着こなしが難しいと思われているのではないか、ということ。

 アシンメトリーのデザインは決して定番のデザインではありません。左右で使われている生地や色が違ったり、片方の袖がなかったりと、ごく普通の左右対称のデザインのものばかり着慣れている人から見たら、奇妙なものに見えるでしょう。そのため、一体どうやって着たらいいか、理解しがたいのではないかということ。