韓国映画には、実話を元にしたノンフィクションの作品が多数存在します。そこで今回は、韓国映画の中でも特におすすめのノンフィクション作品を25作ご紹介します。陰惨な事件を題材にしたものから、感動の話題作まで、あらゆる出来事をテーマにした作品が登場します。気分に合わせて気になる作品をチェックしてみてください。
実話(ノンフィクション)のおすすめ韓国映画25選
実話を元にした、ノンフィクションの韓国映画の中から特におすすめしたい作品をピックアップしてご紹介します。実話をベースにしているとは思えないほど奇想天外なストーリーがたくさん登場します。お気に入りの作品を探す際は参考にしてください。
実話(ノンフィクション)のおすすめ韓国映画①〜⑩
実話おすすめ韓国映画①共謀者
2012年に製作された韓国映画「共謀者」です。中国と韓国で起こった臓器密売事件をテーマにした作品です。事件は2009年に起こったもので、夫と共に中国を旅していた韓国人の女性が何者かによって誘拐され、臓器を抜かれた状態で死体となり発見されたという悍ましい事件です。
臓器売買の闇組織という、表の社会には出てこない世界の実態を描きます。その非情な手口をクライムサスペンスとして映画化した今作。本当に現実に起きた事件とは考えられないほど、残酷なストーリーです。
実話おすすめ韓国映画②あいつだ
小さな漁村を舞台に起こった殺人事件を描いた作品「あいつだ」です。釜山の漁村に住んでいた女子高校生のウンジ。何者かによってある日殺されてしまいます。彼女には兄がおり、彼は妹の鎮魂祭で見つけたある男に目をつけます。
なぜ目をつけたかというと、鎮魂祭で魂を解き放つために海に流した赤い紐が切れ、その紐の繋がれていた器が男の目の前で止まったから。粘り強く男を追いかけ続ける兄でしたが…。
貧しい漁村で巻き起こる悪や、鎮魂祭の示す犯人など、どこかオカルトチックな雰囲気が感じられる作品です。閉鎖的な村を舞台にしたミステリーが好きな方におすすめです。
実話おすすめ韓国映画③イテウォン殺人事件
ハンバーガー店で起こった事件を題材にした「イテウォン殺人事件」です。1997年、イテウォンにあるハンバーガー屋のトイレで、韓国人大学生の遺体が見つかります。被害者は首や胸など9箇所を刺されており、現場にいたアメリカ国籍の青年2人が捕まります。
容疑者として捕まったのは、18歳のピアソンと17歳のアレックスの2人。警察が証拠として押収したナイフ、靴、服のいずれも血塗れの状態でした。
しかし、初期の捜査が遅れてしまったために、殺害現場の保存ができておらず捜査が進みません。米軍の資料ではピアソンの有罪を認定していますが、韓国の検察はアレックスが刺したと考えます。
ピアソンの供述には怪しい点が多く見られ、どちらが殺したのか分からない状態が続きます。「クールなものを見せてやるからこいよ」という一言を、一体どちらが言ったのか…。
検事に「殺したのはどっちだ?お前は米軍で殺したと認めたのではないのか?」と聞かれ、「友達だからさ」と答えるピアソン。やがて公判が始まり、証人台にはピアソンとアレックスと一緒にいた友人たちが上がります。
しかし、次々に証言を変えてしまう友人たち。法医学者の意見も取り入れながら公判は進みますが、決定的な犯行の証拠は掴めません。次に行われた現場検証では、いきなり「ナイフの持ち方が違う!」といい、殺害の様子を再現して見せるピアソン。
パク検事はその姿を見てピアソンが殺したのではないかと考えます。しかしその後、検察はアレックスを殺人で起訴、ピアソンは凶器所持と隠匿罪で提訴されます。
再び行われた公判では、供述の再検証が必要という話になり、ソウル高等裁判所へ差し戻しとなります。ここで、事実上アレックスの無罪が確定しました。
被害者の母親は「誰が私の息子を殺したの?」と悲痛な声を上げます。アレックスは無罪、ピアソンはアメリカに釈放あれ、結局事件は未解決のまま幕を閉じてしまうのでした。
実話おすすめ韓国映画④マルティニークからの祈り
女性監督パン・ウンジンによるノンフィクション映画「マルティニークからの祈り」です。言葉の通じない土地で、突如身に覚えのない罪状により逮捕されてしまった主婦。彼女が2年をかけて家族の元へ帰るために奮闘した様子を描きます。
この事件は、2006年に韓国のドキュメンタリー番組でも紹介され、大きな反響を呼びました。事件が起こったのは2004年10月。夫と娘と暮らす主事のジョンヨンは、フランスの空港にいたところを突然逮捕されてしまいます。
この時彼女は、生活費の足しにするために運び屋の仕事をしている最中でした。「金の原石」を運ぶようにと命じられて仕事を引き受けていたジョンヨンでしたが、実は中身は石ではなく、麻薬だったのです。
騙されて働かされていただけだったジョンヨンでしたが、言葉も分からず弁解できないままにフランスの海外領、マルティニークにある刑務所に移送されてしまいます。
カリブ海に浮かぶ島で、突然囚人として収監されることになってしまったジョンヨン。彼女の体験をリアリティ満載に描きます。
実話おすすめ韓国映画⑤ソウォン/願い
感動の涙なしには見られない韓国映画「ソウォン/願い」です。韓国で起きた「ナヨン事件」という暴行事件を題材にした映画です。心と身体に消えることのない傷を負った少女と、絶望の淵に立たされた家族が、周囲の助けを借りながら立ち上がる様子を描きます。
ある日の朝、8歳の少女ソウォンは、突如知らない男に連れ去られてしまいます。男は酒に酔っており、ソウォンに信じがたいような暴行を加えます。
家族の元へ帰ったソウォンは、身体と心に深い傷を負っていました。医師には「大腸などの内臓が破損しており、このままでは命が危ない。人工肛門をつけないと助からないだろう」と宣告を受けます。
あまりの事態に、泣き崩れる父と母。さらに、事件のことを知ったマスコミが病院に殺到し、娘が世間の好奇の目に晒されてしまいそうになります。
なんとか社会の目から娘を守ろうとする家族でしたが、さらなる苦境が襲います。裁判で犯人の有罪を立証するため、ソウォン自身の証言が必要になったのです。
ソウォンは事件以降、父のドンフンを見るたびに犯人のことを思い出し、ひどく怯えるようになってしまいます。娘に近づくことすらもできなくなってしまったドンフン。
絶望の底に落とされる家族でしたが、暴行事件の被害者団体やソウォンの同級生たちの支えによって、再び歩み始めます。
実話おすすめ韓国映画⑥シルミド
心が締め付けられるような実話をベースにした映画「シルミド」です。主人公のソル・ギョングは、父親が北に亡命したことで共産主義と言われ、社会人になっても就職すらできませんでした。ヤクザになる道しか残されておらず、最終的には殺人で警察に捕まってしまいます。
母を残し死刑判決を受けたギョング。その頃、北朝鮮の工作員が国境を超えて韓国大統領の命を狙い韓国に侵入してくるという事件が起こっていました。ギョングの死刑が決行される直前、突然見知らぬ軍人アン・ソンギが現れます。
そして、こう言い放つソンギ。「父親の呪縛から解放され、国の為に刃物を握れるか?」。意味が分からないギョングを置いて、死刑は決行されます。ですが、彼は生きていました。
30名の死刑囚たちとともに、シルミ島へ向かう船に乗り込むことになった彼。島につくと、韓国一の特殊部隊(シルミ島684部隊)に任命されたことを知らされます。
「北朝鮮のキム・イルソン主席を暗殺できたら、国家的な英雄となり報奨金も貰える。しかし辞退するなら死刑囚に逆戻りさせられる。」そう聞かされた彼らには、選択の余地など残されていませんでした。そしてここから彼らの過酷な訓練が始まるのでしたが…。
実話おすすめ韓国映画⑦折れた矢
テロ事件を題材にした韓国映画「折れた矢」です。2007年に起きた事件をもとに、チョン・ジヨン監督が映画化しました。主人公のキム・ジョンホは、大学教授として働いていましたが、ある時大学入試試験に出題された数学の問題の間違いを指摘すると不当解雇されてしまいます。
さらに教授地位の確認訴訟に敗訴し、控訴審も正当な理由なく棄却されてしまうのでした。担当判事を探して公正な裁判を求めるギョンホ。、ついに石弓を用いて裁判長のクロスボウを威嚇するまでに至ります。
逮捕されるギョンホでしたが、クロスボウに危害を加えていないと主張します。さらに検察側の提出する証拠の矛盾を指摘しますが、それでも司法府はギョンホに有罪の判決を下そうとするのでした。
実話おすすめ韓国映画⑧極楽島殺人事件
2018年に公開された映画「極楽島殺人事件」です。事件が起こったのは1986年、ある港町の近海で釣り人が人間の頭を釣り上げたことから始まりました。被害者は近くの極楽島の島民であることが判明しますが、そこには住民が17人しかいません。
現場で血痕などが見つかりますが、なぜか島民全員が姿を消していました。遡ること1ヶ月前、島民は島の送電技師2人の死体を見つけます。前日に彼らの喧嘩をした男が容疑者として浮上しますが、彼は行方不明になってしまいます。
さらに、警察が来るまでの間島民は独自に推理をしますが、次々と殺人事件が起こるばかりで一向に解決しません。その上、事件と関連する謎のメッセージも現れます。誰しもが容疑者にも被害者にもなり得る状況で、謎は解けるのでしょうか。
実話おすすめ韓国映画⑨ハン・ゴンジュ 17歳の涙
各国の映画賞を受賞した映画「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」です。女子中学生が受けた集団生暴行事件を元にした作品です。主人公は17歳の少女、ハン・ゴンジュ。中学生の頃の事件がきっかけとなり家庭は崩壊、転校を余儀なくされました。
元担任の先生の母親の家に居候し、新しい生活をスタートさせます。新しい学校に馴染めず、離れて暮らす両親にも冷たくされるゴンジュでしたが、偶然彼女の歌声を聴いた同級生たちと友人になります。
新しい場所で居場所を見つけられそうだったゴンジュは次第に立ち直ろうとしますが、過去のおぞましい事件の影がまた彼女のことを傷つけていくのでした。
ゴンジュは中学生の頃、集団レイプ事件の被害者の1人だったのです。共に被害にあったもう1人の女子は飛び降り自殺をしてしまい、ゴンジュは世間の目を避けてひっそりと生きてきました。
しかしある時父親が加害者の1人と示談をしたことで、他の加害者の親もゴンジュの元へ押しかけてきます。居場所を失ったゴンジュは、逃げるようにして居候先の家からも去ります。そうして彼女が行き着いた先は、深い水の中でした。
実話おすすめ韓国映画⑩バービー
養子縁組に見せかけた臓器売買を描いた作品「バービー」です。主人公の少女スニョンは、アメリカに憧れバービー人形大好きな妹のスンジャと、知的障害を持つ父の世話をしながら内職をし、家計を支えていました。
ある日、スニョンを容姿にしたいと申し出るアメリカ人が現れます。アメリカ人が連れてきた娘のバービーと仲良くなるスニョン。しかし、アメリカ人の父親は2人が仲良くすることを快く思いません。しかし、意に反して2人はどんどん仲を深めます。
そんな時、妹のスンジャが自分が養子に行きたいと言い出します。結局スニョンを諦めてスンジャを養子にすることになったアメリカ人。その理由は、彼の目的が養子を探すことではなく、心臓の臓器提供をしてくれる子供を探すことだったからです。
バービーには心臓に病気を持つ妹がおり、金を欲したスニョンの叔父マンスクがアメリカ人と話をつけたのでした。この事態にバービーは戸惑いを見せますが、妹のためだと自分を納得させます。
裏で糸を引いていた叔父マンスクは、後ろめたさからスンジャに「アメリカに行っても俺を恨むなよ。自分自身で生きたいと決めたんだから、俺を恨むな」と念を押します。「ありがとう、叔父さん」そう言って旅立とうとするスンジャ。
アメリカに行く日、嬉しそうな笑顔を見せます。一方で暗い表情をしたバービーは、スニョンに手紙を渡します。中身は一面「SORRY」の文字で埋め尽くされていました。