「曇りの日はうまく写真が撮れない気がする…」と思っていませんか?曇りの日は写真が撮りにくい条件がそろってしまうことから、写真に不向きな天気とされています。しかし、曇りの日にしか撮れない写真や、曇りの日こそ素敵に撮れる被写体があるのです。
この記事では、曇りの日に使える撮影テクニックを紹介します。曇りの日にうまく写真が撮れない理由とその対処法も紹介するので、「曇りの日はきれいな写真が撮れない…」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
[講師]ライター ワタナベサツキ
曇りの日の特徴とは?
曇りの日には、晴れの日や雨の日にはない特徴があります。また、その特徴をいかすことで、曇りの日にも写真を撮るメリットがあるのです。まずは、そもそも曇りとはどんな状態なのかと、曇りの日に写真を撮るメリットを紹介します。
そもそも曇りとは?
そもそも曇りとは、空を雲が覆ってしまい、太陽の光がほとんど射さない状態のことをいいます。気象庁は、以下のように定めています。
“全雲量が9以上であって、見かけ上、上層の雲が中・下層の雲より多く、降水現象がない状態。”
気象庁 予報用語 天気 曇り
簡単にいうと、雲が空の9割以上を占めていると、天気予報でも曇りと呼ばれるということです。 曇りの場合、太陽が雲に隠れてしまっているため、自ずと光量が低くなってしまいます。また、太陽を雲が遮っているため、光が拡散されてしまうという特徴もあります。曇りの日はこのような条件がそろっているため、いつも通りの設定やいつも通りの撮り方では「写真がいまいちパッとしない」という事態に陥ってしまうのです。
曇りの日に写真を撮るメリット
「写真がいまいちパッとしない」という事態に陥ってしまう曇りの日ですが、曇りの日にも写真を撮るメリットがあります。曇りの日に写真を撮るメリットは、以下の通りです。
- 全体的に優しいトーンになる
- 白飛びしにくい
- 撮影スポットが空いている
まずは、全体的に優しいトーンの写真が撮れるということ。晴れの日は太陽の光が強いため、コントラストが強くなってしまいますが、曇りの日は太陽を雲が遮っているため、写真全体のトーンが優しくなります。ふわっとした印象の写真や、ミステリアスな写真を撮るには、曇りの日がうってつけです。
また、光が当たりすぎることによって起きる「白飛び」も防げます。白飛びを防ぐ方法のひとつとして、少し暗く撮影し、あとで編集で明るくするという方法があります。曇りの日なら、わざと暗く撮影しなくても薄暗いので、自然に白飛びを防げるのです。
さらに、曇りの日は有名な撮影スポットも比較的空いている傾向にあります。写真を撮りに出かけるという方たちは、晴れの日を狙って写真を撮る人がほとんど。したがって、曇りの日は有名な撮影スポットも比較的空いています。
このように、曇りの日だからこそ生じるメリットもあります。メリットを存分にいかして、素敵な写真を撮影しましょう。
曇りの日にうまく写真が撮れない理由とその対処法
曇りの日に写真を撮るメリットを紹介してきましたが、やはりデメリットもあります。デメリットは、しっかりと対策を講じていきましょう。ここからは、曇りの日にうまく写真が撮れない理由とその対処法を紹介します。しっかりと対処して、曇りの日でも素敵な写真を撮れるようになりましょう。
陰影が付きにくい
曇りの日にうまく写真が撮れない理由としてまず挙げられるのは、陰影が付きにくいこと。曇りの日は、雲によって太陽の光が拡散されてしまうので、晴れの日のようなくっきりとした陰影を付けるのが難しいとされています。晴れの日に撮影する写真は、影を写すことで立体感や陰影を演出しています。しかし曇りの日は、雲によって太陽の光が拡散されることで、写真に立体感や陰影を演出しにくいのです。
陰影が付きにくいときは、曇り空よりさらに暗い場所に行って撮影することや、明暗差や色の濃淡が激しい被写体を選んで撮ることで解決できます。曇り空よりさらに暗い場所とは、森や渓谷など木々に覆われている場所や、屋根がある場所のこと。全体的に暗い空間に行くと、設定の調節もしやすく、被写体のディテールまで表現しやすくなります。また、晴れの日に撮ると目がチカチカしてしまうような明暗差や色の濃淡が激しい被写体でも、曇りの日なら自然な陰影で優しい写真にすることが可能です。
鮮やかさに欠ける
曇りの日は光が拡散されてしまうため、撮った写真が鮮やかさに欠けてしまうことがあります。私たちがいつも見ている物や風景は、光の反射により、色鮮やかに見えています。光の反射で色鮮やかな写真が撮れるのは、晴れの日やライトで照らしているからこそ。曇りの日のように、暗くて光の反射が弱いシチュエーションで撮る写真は、鮮やかさに欠けてしまうのです。
写真が鮮やかさに欠けてしまうときは、曇り空にピントを合わせ、雲をメインとして撮影すると解決できることがあります。曇り空にピントを合わせ、雲自体の陰影をはっきりさせて写真を撮ると、周りの風景も鮮やかに見えてきます。雲をメインとした写真を撮るときは、早朝や夕方がおすすめ。太陽が傾く早朝や夕方は空全体の青みが強くなるため、この青みをいかすことで、雲を主役にしたドラマチックな雰囲気の写真を撮ることが可能です。
曇り空が目立つ
写真は、見せたい被写体にパッと目が行くものが良いとされています。しかし、曇りの日に撮った写真は、曇り空が真っ白に明るく写ってしまいます。そのため、見せたい被写体ではなく、真っ白に写った曇り空に目が行く(目立つ)写真になってしまうのです。
曇り空が目立ってしまうときは、構図に空を入れずに撮影することで解決できます。空を入れずに撮影することで、見せたい被写体にパッと目が行く写真を撮影可能。コントラストや露出を調節すると、晴れの日に撮った写真のようにすることもできます。また、空を入れずに撮影することで、写真自体の明暗差が少なくなり、コントラストや露出も調節しやすくなります。写真を撮った後に加工したいという方にも、おすすめの方法です。