「うちのワンちゃんは太り気味?」そんな心配を一度でもしたことはありませんか。
ダイエットをしようにも、どうすれば良いのかわからない。適正体重はどのくらい?そもそもどうして太っちゃいけないの?
そんな犬の肥満にまつわる疑問を解消しながら、理想的なダイエット方法をお教えします。
1.肥満気味の愛犬を放置するリスク
どうして犬を太らせてはいけないのでしょうか?答えはカンタン。それは、肥満は“万病のもと”だからです。残念ながら日本ではまだこの認識が浸透していませんが、ヒトの医学では太っている状態は「肥満症」という立派な病気と認識され、これはペットにも同じことがいえます。
そして肥満に対して注意するべきことは脂肪の量ではなく、実は“炎症”。肥満と聞くと、愛犬のぽっちゃりしたおなか回りの脂肪などをイメージするかもしれませんが、本当に恐れるべきはその過剰な脂肪組織が引き起こす炎症なのです。 では炎症は、どのような深刻な病気を引き起こすのでしょうか?
肥満がリスクとなる病気
糖尿病・インスリン抵抗性・高血圧・腎臓病
場合によってはインスリン注射や血圧薬の投与など、長期にわたって大変な治療を続けていかなければいけないものです。しかしどの病気も、適切な栄養と運動による体重の維持によって予防できることが多いといわれています。
関節炎
肥満状態のペットにはよく見られるもので、犬の腰、膝、肩、ひじに重度の関節炎を引き起こします。犬にとってその痛みはとてもつらいもの。関節炎が原因となり、衰弱に苦しむケースもあります。
がん
近年ペットの高齢化とともにがんは死因の上位を占めていますが、肥満がもたらす慢性炎症とがんの発生の因果関係が近年注目されるようになってきました。
2.ダイエットを始める基準
米国の「ペット肥満予防協会(Association for Pet Obesity Prevention)」(以下、APOP)の調査によると、犬の55.8%が過体重または肥満状態にあったという結果でした。
⇒2018年 ペット肥満調査
ではいったいどのような状態を肥満と呼ぶのでしょうか。
その評価方法としてもっともポピュラーなのは、9段階の結果に分けられる「ボディ・コンディション・スコア」(以下、BCS)。獣医師のもとでも、ダイエットを始める判断基準として利用されているものです。実際にどのように測られ、どのような診断基準なのかを見ていきましょう。
~BCSの測定方法~
① 体を横から見て、ウエスト部分にどのくらいくびれがあるかをチェックします。
② 体を上から見て、ウエスト部分にどのくらいくびれがあるかをチェックします。
③ 肋骨をなでて、どのくらい骨が浮き出ているかをチェックします。
④ ウエストの部分を触り、どのくらいくびれがあるかをチェックします。
⑤ 腰の骨を触り、どのくらい浮き出ているかチェックします。
~BCSの判断基準~
3.犬をダイエットさせるタイミングは?
一般的には、理想体重の30%を超えると肥満状態といえます。とはいえ、そもそもの理想的な体重もよくわからないという飼い主さんも多いのでは?
もちろんBCSのチェックや体重の計測は自宅でもできるものですが、愛犬の健康管理にしっかりと向き合い、その後のダイエットを成功させるためには、獣医師に判断してもらうことが大切です。それぞれの犬の年齢や個体差によって理想体重も変わってくることを忘れず、決して自己流の判断はしないようにしましょう。
愛犬の理想体重の算出、BCSの測定、現在の体重測定などを獣医師にしてもらい、そこでダイエットの必要性やふさわしいタイミング、ダイエット方法など獣医師とともにプランニングしていくのがベストです。
4.犬が太ってしまう原因
犬が太ってしまう原因は、日常の様々なところに潜んでいます。思い当たることはありませんか?ここであらためて、愛犬との毎日を振り返ってみましょう。
原因1 運動不足
一般的な飼育犬の運動量は、本来犬が必要としている運動量と比べるとあきらかに不足しています。みなさんが日頃されているお散歩では、しっかりと“運動”ができているでしょうか。
遊ぶことが目的のカジュアルなお散歩と、健康維持が目的の“運動”は別物であることを認識することが大切です。
原因2 適正摂取カロリーの認識不足
市販のドッグフードには、よく犬種や体重別に参考給餌量が表示されていますが、それはあくまでも“参考量”。本来ドッグトフードの給餌量は犬種や体重に加え、その時の健康状態や運動量、理想的な体重との解離具合も含めて決めるのが正しい方法です。
この正しい方法がされないとカロリー過多になってしまい、それはやがて肥満へとつながるのです。
原因3 飼い主との関係性
室内での飼育が主流になった現代、犬と飼い主との距離は非常に近くなりました。そのため、犬の要求が飼い主に通りやすく、本来の食事以外のものを口にする機会も多くなっています。
おやつのおかわりをおねだりされて、ついつい応じてしまったことはありませんか?それこそが太る原因なのです。