保険に入ろうか考え始めたものの、「種類が多くてよくわからない!」という方は少なくありません。生命保険、死亡保険、医療保険がそれぞれどんな保険なのか、どんな人に向いているのか解説します。

生命保険は大きく3タイプに分かれる

(写真=SewCream/Shutterstock.com)

不慮の事故で亡くなってしまったり、病気が見つかって手術や入院をすることになったり、仕事を引退して老後を迎えたり、人生のどこかでそんな出来事に遭遇するかもしれません。生命保険は、そういった場合に発生する金銭的なダメージを抑えるためのものです。

一般的に、「生命保険=亡くなったときに保険金が受け取れる保険」と思われがちですが、実はそうではありません。自動車や家など「物」のリスクを保障する「損害保険」に対し、「人」のリスクを保障する保険が「生命保険」です。大きく分けると次の3タイプがあります。

  • 死亡のリスクに備える保険(死亡保険など)
  • 病気やケガのリスクに備える保険(医療保険など)
  • 将来の生活資金のための貯蓄性のある保険(学資保険、個人年金保険など) 「生命保険」は基本的に、人に起こりうるさまざまなリスクをカバーする保険をまとめた総称です。でも、文脈によっては狭い意味での「生命保険」として死亡保険のことだけを指している場合があります。そのため、保険のことを初めて考える方にとってはややこしく感じてしまうかもしれませんね。

    死亡保険と医療保険の違いは?

    生命保険という大きなくくりの中に、死亡保険や医療保険といった種類があります。死亡保険は、もし亡くなってしまったり重度障害状態になってしまったりしたときに保険金が受け取れます。残された家族が金銭的に困窮することがないように備えておくことができるというものです。

    一方、医療保険は、入院や手術などをした場合に保険金が受け取れます。もし病気やケガで多額の医療費がかかってしまったとしても治療を続けられるようにするための保険です。最近は「生きるための保険」といった言い方をされることもありますね。

    残された家族のための死亡保険に対し、医療保険は自分自身のための保険であるといえます。

    死亡保険の種類と特徴

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死亡保険のおもな種類

亡くなった場合に保険金が受け取れるという点は同じでも、その期間や受け取り方などによっていくつかの種類に分けられます。

  • 定期保険……一定の期間だけ加入する、保険料が掛け捨ての死亡保険です。
  • 終身保険……一生涯の保障も可能で、保険料が積み立てられる貯蓄型の死亡保険です。解約時には解約返戻金が受け取れます。
  • 収入保障保険……亡くなったときに一括で保険金を受け取るのではなく、お給料のように毎月一定額ずつ受け取るタイプの保険です。保険料は掛け捨てで安く抑えられることが多いです。

死亡保険の加入を検討すべき人

子ども、配偶者、親など自分の収入で生活を支えている家族がいる方、なかでも、お子さんがまだ小さい場合や子育て中で配偶者が専業主婦(主夫)をしていてすぐには働きに出られないような場合に検討が必要です。今後多額のお金がかかるにもかかわらず収入が入ってこないとなると生活が苦しくなりやすいので、特に手厚い保障を考えておいた方がよいでしょう。

そのほか、家族に迷惑をかけないようにお葬式代やお墓代くらいは自分で用意しておきたいということで加入される方もいます。

医療保険の種類と特徴

(写真=VILevi/Shutterstock.com)

医療保険のおもな種類

  • 医療保険……病気やケガによる入院・手術の保障のほか、保険によっては通院や先進医療の保障、健康祝金などのオプションを付けられるものもあります。
  • がん保険……数ある病気の中でも「がん」だけに特化した保険です。医療保険より狭く深く、がんと診断されたときの一時金や抗がん剤治療の保障などがあります。
  • 女性保険……医療保険のなかでも、特に女性特有の子宮、乳房、卵巣、妊娠関連などの病気に対して特に手厚い保障が付いているものを指します。
  • 引受基準緩和型医療保険……通常の医療保険に加入できない健康状態の方でも入れるよう、加入時の審査基準をゆるめた医療保険のことです。 そのほか、病気やケガで働けなくなった場合の収入ダウンを補うための就業不能保険、寝たきりや認知症など特定の介護状態になったときに保険金が受け取れる介護保険などもあります。

    医療保険の加入を検討するべき人

    医療費が高額になってしまった場合に支払えない可能性がある方は加入を検討したいですね。日本では高額療養費制度という国の社会保障があり、医療費のうち自己負担となる金額には上限が定められています。ただ、それでも場合によっては月に10万円近い出費が続いてしまうこともありますので、そういった費用を貯金など自力でまかなうのは難しいという方は医療保険への加入を検討するとよいでしょう。

    そのほか、自営業やフリーランスなど体調悪化がもろに収入に大打撃を与えてしまうような職業の方が保険をかけているケースもあります。医療保険は基本的に帝王切開や流産手術などでも保険金が受け取れるため、今後妊娠を考える女性が若いうちに加入しておくというケースもあります。

    死亡保険と医療保険はどちらに入るべき?

    死亡保険と医療保険は同じ「生命保険」というカテゴリーではありますが、どんなときにいくら保険金が出て誰の役に立つのかなどまったく違うものです。

    どちらに入るべきかは人それぞれですし、両方とも入っておいたほうがいい方もいれば、両方とも不要という方もいるでしょう。1つの保険で死亡保険も医療保険も両方セットになっているような商品もあります。

    迷ってしまったら、自分や家族の暮らしをよく見つめなおし、もし何か起きたら誰がどのくらい困ってしまうのか考えましょう。あまり考えたくない嫌な想定かもしれませんが、何も考えず対策しないままその事態が起きるよりはマシです。一度は具体的にイメージしてみて、そのリスクに備えられる生命保険を選びましょう。

    文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)

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