生命保険にはいろいろな種類があり、保障内容やメリットを説明されても、自分に合っているのかどうかよくわからないという方は少なくありません。もしものときに困らず、保険料も高すぎない、ちょうどいい保険の選び方について順を追って解説します。

ステップ1. 生命保険に加入する目的を考える

(写真=PIXTA)

まずは、自分が生命保険に加入する目的を明確にしましょう。自分や家族が何に不安を感じていて、誰のためにどんなリスクに備える必要があるのかを考えます。以下はその一例です。

自分が死亡した際、残された人たちのために備えたい

もし自分が亡くなってしまった場合、金銭的に困ってしまいそうな家族はいるでしょうか。お子さんがいる家庭や配偶者や親を扶養している場合など、自分が家族の大黒柱として収入面を支えている方は、特にしっかりと用意しておいたほうがいいでしょう。

残された家族の生活費や子どもの教育費としてではなく、自分の葬儀やお墓にかかる費用などを自分で用意しておくために加入するという方もいれば、相続対策で加入する方もいます。

入院・手術時にまとまったお金が払えない

もし大きな病気が見つかったり、事故で大ケガをしてしまったりしたとき、多額の医療費がかかるかもしれません。また、入院が長期間にわたるようならその間は収入が減ってしまい、生活費のやりくりが難しくなる可能性もあります。自分の病気やケガはもとより、親の認知症や介護が必要になるリスクに備えておく方もいます。

将来の生活資金が不安

健康に対する不安というよりは、長生きした場合の老後資金や子どもの将来の進学資金など、いずれ必要になる可能性が高い費用を自分がきちんとまかなえるかどうかが不安という方もいます。

ステップ2. 適切な保障金額を計算する

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起こりうるリスクを挙げられたら、次はその事態が発生した場合にいくら必要になるのか、そして、これが重要なのですが、必要になる金額のうちいくらまでならまかなえそうかを考えます。自力ではどうにもならない部分をカバーするのが保険の基本的な考え方です。

ときどき、いくら必要になるのかだけを考えて心配になって、いろいろな保険にたくさん入って「保険料貧乏」になってしまう方がいます。しかし、よく考えると、保険がなくても案外大丈夫なケースもありますよ。

たとえば、病気で入院してしまったとしましょう。医療費は通常3割負担ですし、高額療養費という制度があるので自己負担となる医療費には上限が定められています。70歳未満で月収30万円ほどの方なら、10割負担の場合の医療費が1ヵ月で100万円かかったとしても、自分で払うのは9万円未満です。収入が少ない方ならより少額の負担で済みます。

確定申告で税金の負担が軽くなる「医療費控除」、障害が残ってしまった場合の「障害年金」、会社員や公務員ならしばらく働けなくてもお給料の約3分の2が保障される「傷病手当金」など、そのほかの社会保障制度もあります。

そういったことを考慮して、さらに身内の援助も自分の貯金もなくてどうにも難しそうだということであれば、その足りない金額をまかなえる分だけ保険に加入しておくことを考えましょう。

ステップ3. 商品を比較検討する

(写真=PIXTA)

ステップ1と2で考えた内容を踏まえて、実際の保険商品をいくつかピックアップして比較してみましょう。

亡くなったときの保障なら定期保険、終身保険、収入保障保険などがありますし、病気やケガなら医療保険、がん保険、就業不能保険、将来に備えるなら個人年金保険や学資保険など、いくつもの種類があります。

また、同じ種類の保険の中でも、保険会社によって付けられる特約が違ったり保険料が違ったりします。同じ保険の中でも、いつまでの保障をいつまで保険料を支払って続けるのかなど設定で変えられる箇所もあります。保険料が安ければ安いほどいいというものでもありません。保険料が高く見えても、そのぶん保障内容が充実しているとか、掛け捨てではなくお金が貯まる貯蓄型の保険ということもあります。

種類が多くて悩んでしまうかもしれませんが、何のためにいくらくらい必要なのかを考えて、自分の経済状況も把握していれば、おのずと絞られてきます。いろいろな保険を比較して、メリット・デメリットを踏まえたうえでしっくりくるものを選びましょう。

ライフステージが変わるごとに見直しを

保険選びは考えることが多く、面倒に感じる方もいます。なかには、よくわからないままとりあえず営業の人にすすめられた保険に入っているという方もいます。しかし、自分のこと、家族のこと、貯金のこと、お金に対する考え方などをいちばん把握しているのは自分のはずです。何かあってから後悔しないように、しっかり考えて納得できるものを選びましょう。

また、一度保険に入っておけばあとは安心ということではありません。家族が増えたり、仕事が変わったり、家を買ったり、生活環境が変わることで、入るべき保険も変わることがあります。保険自体の内容も新しくなっていることもありますので、ときどき見直しをして適切な状態を保つのがおすすめです。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)

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