懸命に目を見開いて事に当たるジャーナリスト役

森友・加計学園問題をめぐる公文書改ざん事件をモチーフに、東京新聞の望月衣塑子記者をモデルにした主人公が真相に迫っていく『新聞記者』は第1話から第6話まで一気に見てしまう強烈な磁力がある。

米倉が演じる松田杏奈は正義感の強いジャーナリスト。ドラマは事件に関わる官僚(綾野剛)や事件に巻き込まれた人物の身内で新聞配達のバイトをしている就活生(横浜流星)など様々な人物を多角的に描いた群像的なところがあり、実際のところ米倉の出番はさほど多くない。でも彼女がほんの少しの真実も取りこぼさないように懸命に目を見開いて事(こと)に当たる、その姿はドラマのいいアクセントになっている。

米倉涼子の眼差しが効果的だった『新聞記者』

よく言われることだが、主人公は視聴者の代理であり、主人公を通して物語を見つめるという点で、この複雑で深刻な出来事を視聴者が理解するうえで米倉涼子の眼差しが効果を成している。

モデルである望月記者とは別に、ドラマの主人公はニュートラルなほうがいい。ある種の思想や個性が際立たないほうがいい。善人過ぎても悪人過ぎても、頭がキレ過ぎても知識がなさ過ぎても、好感度が高すぎても低すぎてもよろしくない。でも地味ではいけない。適度に華やかで、この人知っているという人がいい。公共放送のアナウンサーみたいな感じであろうか。

その点、米倉涼子はなんなら彼女の名前は知らなくても「わたし、失敗しないので」とか“大門未知子”とか“ドクターX”とか何かしら認識を持たれているだろう。申し分ない知名度の高さを持っているのだ。