3つのクリヤヨガと具体的なアクション

それぞれの詳しい意味と具体的なアクションを、筆者なりに解説していきます。

クリヤヨガの捉え方は、一つに留まりません。

世界中であらゆる解説がなされています。

自分なりに、どんなことができるのか置き換えて考えてみるのも良いでしょう。

tapah・タパス

『yoganess』より引用
(画像=『yoganess』より引用)

しばしば「苦行」「禁欲」と訳されることがありますが、タパスそのものには「焼くこと」「熱を創りだすこと」といった意味があります。

金は焼くことで不純物がなくなり、純度が上がりますよね。

同じように、焼くことで不純さを取り除いていこうといった行動指針です。

では、私たちにとって「焼くこと」とは何なのでしょう。

これには、大きく二通り考えられます。

  • 苦行に耐えること(苦痛を受け入れること)
  • 悪い習慣を辞めること です。

一つは、金が熱い火の中で焼かれることでより素晴らしいものになるように、人間も苦痛に耐えることでより立派な人間になるという考えです。

苦しいことの先には、自身の成長があります。

それならば、自ら苦しい道を行こう、もしくは他者の代わりに自身が苦行に耐えようとする姿勢を持つことで、精神が成長していくのではないかと思います。

もう一つは、悪い習慣を焼いてしまうことです。

あなたにも、辞めるべきだと分かっているのに辞められない悪い習慣はありませんか?

暴飲暴食、夜更かし、スマホの見過ぎ…そういった悪い習慣を断ち切ることで、心の純度を高めていこうという教えです。

ちなみにヨガのバイブルとして多くのヨガ実践者が愛読している『ヨガ・スートラ』の解説では、肉体面でのタパスとしては断食が書かれています。断食は、欲を断つことで感覚を研ぎ澄まし、純粋な身と心になるといった効果が期待できます。そういった理由から、ヨガ愛好者の中には断食を行う人が多いのです。

いずれにせよ、タパスは自身の状況と真摯に向き合うことがテーマになっていると思います。

今のままの生活を続けるのではなく、日常的に自ら厳しい道を選び取ったり、乱れた習慣を変えていったりすることでクリヤヨガを実践できるのではないでしょうか。

svadhyaya・スヴァディアーヤ

『yoganess』より引用.jpg
(画像=『yoganess』より引用)

サンスクリット語でスヴァは「自己」、アディヤーヤは「学習」といった意味があります。

そのため、スヴァディア-ヤは「自己探求」と訳されることが多いです。

学校で行うような、単なる学習とは大きく違います。

自己を探求するということは、自分の本質、自分でも知らなかった魂そのものについて知ることです。

ここでも大きく二通りの行うべきことをご紹介します。

一つは、ヨガの鍛錬です。

冒頭でご紹介したように、クリヤは「行為、習慣」のことなので、日々探求し続けることが大切になってきます。

週に1~2回ヨガのクラスに参加するというのではなく、毎日、呼吸と向き合う時間を作り、アーサナや瞑想も取り入れていくこと。

それこそが、ヨガによって精神を研ぎ澄ませる方法になると思うのです。

毎日と言われると難しく感じるかもしれませんが、ほんの少しの時間で良いです。

毎朝5分間、深い呼吸を意識しながら目を閉じ(瞑想の練習)、身体を整える程度のアーサナを行うという習慣を続けるだけでもヨガの最終目的に近づきます。

時間をかけてヨガクラスに通うよりも、ずっと簡単で継続しやすく、効果があるかもしれません。

もう一つは、自分の人生を見つける助けになるように、聖書などの書物などによって学びを深めることです。

ヨガ愛好家であれば、ヨガの聖典『ヨガ・スートラ』を日々読んで心に刻み、実践するという方も多いでしょう。

聖書というと、日本人にとっては馴染みがなく、敬遠されがちですよね。

ですが、『ヨガ・スートラ』の八支則には、豊かな人生にするために誰もが実践して損のない教えも書かれていますよ。

例えば…

『ヨガ・スートラ』の八支則

サティヤ
誠実で正直であること。見栄や自分の利益のために嘘をつかない。自分に正直に生きること。

アパリグラハ
執着しないこと。必要以上に所有すると執着が湧き、嫉妬や怒りの正体となる。欲望に惑わされず、必要以上に所有しないこと。
(八支則の「ヤマ(禁戒)」より)

シャウチャ
清潔で純粋な状態に保つこと。身を置く環境を整えて、清潔に保つことが大切。また、自分自身の心身も純粋な状態にしておくこと。身体を純粋な状態にするには、体内に毒素(アーユルヴェーダで言う”アーマ”)を溜めないよう、身体にとって良いものを選び、最低限食べるようにする。

サントーシャ
「足る」を知ること。今持っているもの、与えられた環境で十分に足りていることに気づき、感謝すること。求めすぎないこと。
(八支則の「ニヤマ(勧戒)」より)

いかがでしょう。

自分を磨いていくためのヒントになるかもしれませんよね。

もちろん、キリスト教の聖書やヨガの聖典である『ヨガ・スートラ』でなくても良いのです。

自分なりに人生の質を高められるような書物を見つけて、大事に読み続け、学んでいってみてはいかがでしょう。

Ishvarapranidhana・イーシュヴァラ・プラニダーナ

『yoganess』より引用
(画像=『yoganess』より引用)

クリヤヨガの3つ目は、信じること、身を委ねる、捧げることです。

サンスクリット語で、イーシュヴァラは「神さま」、プラニダーナは「すべて」という意味があります。

神さまがすべて、神さまを信じることなどと訳してしまうと、多くの日本人にとっては親和性のないものになってしまいますが、これにはいろいろな考え方があります。

ここでも、二通りの捉え方とすべきアクションをご紹介します。

一つは、「すべての出来事は神さまの意思によって起こる」と考えることです。

例えば悪いことが起きたとき、自分の行いを責めたり、他人のせいにしたりしてしまうことはよくあると思います。

すると、後悔や恨み、嫉妬といった負の感情を引きずることになりますよね。

そうではなく、あらゆる出来事は神さまが決めたことだから「まぁ仕方ない」と思ってしまえば、いくらか気持ちが楽になることでしょう。

誰も恨まず、自分を責め続けることもありません。

日ごろから「身を委ねる」ことは、穏やかな心を保つために大切だと言えますね。

もう一つは、良い行いを神さまに捧げることです。

神さまに…となるとピンとこない方は、空に地球に、宇宙に、すべての人になど壮大なものを想像してみると良いかもしれません。

つまり、何か良いことをしようとするときに、自分の利益や名誉のためではなく、神さま(のようなもの)に捧げる気持ちで行いましょう、ということです。

「捧げる」というのは、見返りを求めずに善意を行うことなのです。

以上のタパス、スヴァディア-ヤ、イ-シュヴァラ・プラニダーナの3つの行動指針を日常で実践し、自己を高めていくことがクリヤヨガなのです。

クリヤヨガは自己鍛錬のためのヨガ!

『yoganess』より引用
(画像=『yoganess』より引用)

クリヤヨガには、ヨガ実践者のみならず、誰もが日々行うことで人生が輝く行動指標が示されています。

今回筆者がご紹介した内容を参考に、生活の中で意識していけたなら、人生はより豊かなものになるはず。

もちろん捉え方は人それぞれですので、ぜひ自分なりに考えてみてください。

クリヤヨガで精神的な不純さが取り除かれれば、アーサナや呼吸法、瞑想も深まり、ヨガの最終目的への到達も近づいていきますよ。

提供・yoganess



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