今回は和訳レッスンを一休みし、「ウソ・ホラ・作り話」に関する婉曲表現をご紹介します。ぜひ肩の力を抜いてお読みください。

私たちが何か話すとき、常に真実を口にしているというわけではありません。真実をねじ曲げるとき、その方法は大別して2つあります。1つは大げさに話すこと、もう1つは割り引いて話すことです。

英語でも大げさに話したり、割り引いて話したりすることがあります。今回はそんな婉曲表現を見てみましょう。

fib

「ウソ」といえば、lieという英単語を思い浮かべる人が多いと思いますが、lie は日本語の「ウソ」より遙かに露骨で相手の人格を非難する口調の強い言葉です。昔は、lie とか liar という言葉を使われた場合、決闘を申し込むほどだったとも言われています。

実際、私は同僚のオーストラリア人が、ある日本人から “You are a liar.”と言われたとき、血相を変えて怒りだしたのを目の当たりにしたことがあります。そう言った日本人は、「冗談だろう?」といった軽いニュアンスで「ウソだろう?」と訊いたつもりだったようです。しかしそれならそれで You must be joking. とか、Are you sure of that?などと言うべきでした。というのも lie とか liar というのは非常にネガティブなニュアンスをもつ言葉だからです。

「ウソ」を強調したい場合であっても、lieを使うのは危険すぎるので、lie の代わりに untruth や falsehood を使ったほうが無難です。

一方、fibというのは、「たわいのないウソ」「罪のないウソ」のことを指します。こちらのほうはlieやliarを使うより安全ですね。私たちが友人に言うときの「ウソつくなよ」を英語で言うとすれば、Don’t tell fibs. くらいがいいかもしれません。

ちなみに、この単語は fible-fable が短縮された形といわれていますが、この言葉自体、fable(寓話、作り話)をおかしく言い換えたものです。

story

storyは「物語」「小説」「記事」「報告」という意味のある英単語ですが、17世紀からlieの婉曲表現として「ウソ」とか「作り話」という意味でも使われるようになりました。

make up a story とか invent a storyで「根も葉もない話をでっちあげる」という意味になります。

white lie

先ほど説明したとおり、lieは非常にネガティブな言葉ですが、これに white を付けて white lie と言えば、(人の気持ちを傷つけまいとして言う)「罪のないウソ」という意味になります。また同じ意味で social lie とも言います。

逆に、「悪意あるウソ」は black lie ともいいます。lie だけでも相当ネガティブな言葉ですので、black lie などと言うのは危険すぎますね。

whopper

18世紀から「とてつもないホラ」を意味する言葉として使われるようになりましたが、現在では、逆に「小さなこととして話すウソ」にも使われるようになっています。

terminological inexactitude

terminological は「用語上の」、inexactitude は「不正確」という意味の言葉で、直訳すれば、「用語上の不正確」となります。これは1906年にウィンストンチャーチルが使った表現ですが、その後、lieの婉曲表現として使われるようになりました。