一眼レフカメラ初心者の方にとって、はじめに迷うのが「カメラの設定」ではないでしょうか。カメラ上部についているダイヤル、メニューに並ぶさまざまな「設定」の文字。どこをどう触ったら何が変わるのか?実際に撮影をしてみても、わかりづらいものです。
でも、大丈夫!この記事を読んで「カメラの基礎」を少しだけ勉強することで、それぞれの設定の意味が理解できるようになります。カメラの基礎というのは、基本的なカメラの機能のことです。どの数値を触ると何が変わるのか?また、どういった時にどの設定が最適なのか?初心者の方でもわかりやすいよう、重要な部分を簡単な言葉に変えてお伝えします。
[講師]フォトグラファー aimi
初心者必見!カメラの基本知識
一眼レフカメラ初心者の方に、まず初めにカメラの機能の基礎知識をご紹介します。さまざまなシチュエーションに合わせてカメラの設定をする時に、必要となる知識です。
少し覚えづらい部分もあるかもしれませんが、ぜひ実際にカメラを手にしながら確認してみてください。それぞれの機能を意識しながら触ることで、すぐに覚えていきますよ。
絞り
絞りとは、カメラに取り込む光の量を調整する仕組みのことです。絞りは、F値(エフち)と呼ばれる値で表します。「F2.8」「F8」などでカメラに表示されているものです。
F値の値が小さくなる(絞りを開く)ほど、カメラに取り込む光の量が増え、F値が大きくなる(絞りを絞る)ほど、光の量が少なくなります。数字の大きさと絞りの大きさが反比例するので少し覚えづらいですが、頑張りましょう!
絞りの最大の特徴は、ボケをコントロールできる点にあります。F値を小さくすることでボケが大きくなります。ボケが大きいということは、ピントが合う範囲(カメラからの距離感)が「狭い」ということです。また、反対にF値を大きくすることでボケを少なくできます。ピントが合う範囲が「広い」ということです。これは数字と比例するので覚えやすいですね!
シャッタースピード
シャッタースピードとは、カメラのシャッターを開く時間の長さのことです。シャッタースピードは「1」「1/60」など、秒数で表します。
数値を小さくする(シャッタースピードを早くする)と、被写体が速い動きをしていても静止画のような撮影が可能です。また、数値を大きくする(シャッタースピードを遅くする)と、被写体の動きをブレとして撮影できます。
ISO感度
ISO感度とは、カメラが光を感知する時の感度のことです。「ISO200」「ISO800」などの数値で表します。
数値を小さくすると、感度が低くなり感知する光の量が減るため、写真が暗くなります。また、数値を大きくすると、感度が高くなり感知する光の量が増えるため、写真が明るくなります。
ISO感度は、高く設定しすぎると写真にノイズが入るため注意が必要です。どの程度まで数値を上げることができるかは、カメラの性能によって異なります。きれいに写すことができる範囲を、試し撮りで確認しておきましょう。
絞り・シャッタースピード・ISO感度を使いこなす
絞り・シャッタースピード・ISO感度それぞれの機能を理解したら、次はこの3つの関係性を学びましょう。どういった場合にどういった数値を変化させるべきかがわかれば、撮影の時に慌てることなく、自分の撮りたいイメージに合わせた設定ができます。
しかし、絞り・シャッタースピード・ISO感度すべてを手動で設定するのは大変です。実際は、便利な撮影モードを使って撮影することがほとんどでしょう。そこで、それぞれのモードがどういった機能を持つのかもご紹介します。
絞り・シャッタースピード・ISO感度の関係
絞り・シャッタースピード・ISO感度はすべて、数値を変えることで写真の明るさの調整ができます。ただし、どうして明るさが変わるのかという理由や役割はそれぞれに異なるため、状況に合わせた数値の調整が必要です。
上の図は、それぞれの基本的な性質をまとめたものです。3つの機能のバランスをうまくとり、適正露出(ちょうど良い明るさ)にしましょう。例えば、「明るくしたいけど、絞りは変えたくない」という場合には、シャッタースピードを遅くする、もしくはISO感度を上げる、またはその両方をすることで適正露出にできます。
絞り優先モード
絞り優先モードとは、絞り(F値)を任意で設定できるモードです。最も使用頻度の高い撮影モードです。カメラ上部のダイアルに「A」「Av」などで表示されています。どの程度のボケがほしいかを考え、それに合わせて数値を決めましょう。任意で設定した絞りの数値に合わせて、カメラが適正なシャッタースピードを決めてくれます。
ISO感度はオート・手動どちらにも設定できますが、初めはオートにしておくことをおすすめします。
絞り優先モードを使用する時には、露出オーバー(明るくなりすぎて白飛びする)に注意が必要です。特に明るい昼間、屋外の撮影で絞りを開きたい場合、カメラ側がシャッタースピードをどれだけ早くしても足りなくなることがあります。その場合は、手動でISO感度を下げる、もしくはもう少し絞りを絞りましょう。
シャッタースピード優先モード
シャッタースピード優先モードとは、任意でシャッタースピードを変更できるモードです。カメラ上部に「S」「Tv」などで表示されています。選んだシャッタースピードに合わせて、カメラが自動で適正な絞り値を決めてくれます。こちらも、ISO感度はオート・手動どちらにも設定できます。
暗い場所で速いシャッタースピードを選ぶ場合、カメラが絞りをどれだけ開いても明るさが足りず、露出アンダー(暗くなりすぎて黒つぶれする)になることがあります。どうしてもシャッタースピードを変えたくない場合は、明るいレンズ(F値の小さいレンズ)に変更することで露光量をかせぐことができます。
マニュアルモード
マニュアルモードは、絞り・シャッタースピードの両方を任意の数値に変更できるモードです。カメラ上部に「M」と表示されています。ISO感度はオート・手動どちらにも設定できます。
ボケもブレも少なくしたい場合や、長時間露光撮影(夜景や花火の写真など、シャッターを長く切る撮影)など、少し特殊な撮影の場合に使います。