「どんなコメントを待っているかが透けて見える」
一方で、一部の写真に対して厳しい意見も聞かれました。インターネット上の写真投稿に対するスタンスが一人一人異なっているのが印象的でした。
「赤ちゃんに負担がかからなければ、写真を撮影するのは、親の自由だと思います。そして、家族とか親しい友達で『こんなにいい写真が撮れたよ』と、その子を大切に思う間柄の人たちと狭い範囲で限定的に楽しむ分にはいいのではないでしょうか。SNSで誰でも見られる状態にしておくのは、私は無理ですね」(30代後半・女性/子ども1歳)
「私にも小さい子どもがいますが、SNSでよく見かける赤ちゃんの凝った写真って時々『かわいい』『うらやましい』『いいママ』というコメントを待っているのが透けて見えて見える気がするんですよ。投稿者は無自覚でも、そういうのって見ている人にはわかってしまうものだと思うから、私のインスタアカウントは閲覧専用です」(30代後半・女性/子ども2歳)
「赤ちゃんの写真っていろいろあるんですね……。凝っている写真もありますけど、親の自己満足だと感じてしまうのは、私の心が汚れているからでしょうか」(40代前半/子どもなし)
……とこんなふうに「親の自由だけど私は投稿しない」という意見や、誰でもに閲覧可能に状態にしておくことに対する否定的な声もあり、あらためてSNSの利用の難しさを感じました。
「自分の写真が知らない誰かに見られるなんて、絶対いや!」
ちなみに、筆者の息子(中学生)に聞いたところ、「自分の知らないところで勝手に自分の赤ちゃんの頃の写真が投稿されていて、知らない誰かに見られているのなんて、絶対いやだ! いい写真でも無理!」と語っていました。
あっという間に過ぎ去っていく赤ちゃん期には、「どんな瞬間も切り取って保存しておきたい」という親の思いは募るばかり。「奇跡の一枚」の撮影に成功したときには、誰かに見せたくなる気持ちがわきあがってくることもありますよね。
とはいえ、写真公開に対する感覚は一人一人異なっているようです。誰もが見られる状態にすることのリスク、無自覚に誰かをモヤっとさせてしまうリスク、将来の子どもへの影響などをふまえ、公開範囲や写真の内容を精査してから投稿したいものです。
<文/北川和子> 北川和子 ライター/コラムニスト。商社の営業職、専業主婦を経てライターに。男女の働き方、家族問題、地域社会などをテーマに執筆活動を行う。
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