おしゃれな部屋にかえって不安になった
「その、あまりに整頓(せいとん)されたおしゃれな部屋にちょっと不安な気持ちになってきてしまって。 私、ちょっと雑な性格でそこまで片づけが得意じゃないんですよ。今まで付き合ってきた男性も、みんな適度に部屋が散らかっていましたし」
少し緊張しながら、すすめられたクッションに座ると彼がコーヒーをいれてくれました。
「そのコーヒーがまた美味しくて…なんか本当に非の打ち所のない人だなと思いました。もしお付き合いを始めて、私の雑なところがバレたら速攻で振られてしまいそうだなって」
その時、未華子さんは、なぜか彼が落ち着かない様子でソワソワしているのが気になったそう。
押入れの中から意外なものが
「最初は、Yくんのリラックス空間に私が居るからかな?と思いましたが、よく見ると震えている感じだったので『どうしたの?寒い?』とたずねると、下をむいて黙ってしまって」
「大丈夫?」と未華子さんはYくんの背中をさすりました。
「するとYくんが『ごめん、僕、未華子ちゃんが来るかもと思って、めちゃくちゃ頑張って片づけて…ダサいかなと思うようなもの全部隠したんだ』と消え入りそうな声で言ってきたんです」
「かっこつけることないって!ダサいところを見せてもらえた方が、私もさらけ出しやすくなるし、ありがたいよ」と未華子さんが励ますように言うと、やっと彼は腰を上げて押し入れを開けたそう。
「中から“こたつ”と“はんてん”を出してきて『寒がりな男、嫌いじゃない?』と聞いてきて…そんなに私に嫌われたくなかったんだなと嬉しい気持ちになりました。すぐに『嫌いなわけないよ!私もこたつ好きだし一緒に入りたいな』と答えました」