「劇団EXILE」最年少メンバーである佐藤寛太主演映画『軍艦少年』が、2021年12月10日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国公開されている。
佐藤寛太さん
『ギャングキング』で累計1200万部を誇る漫画家・柳内大樹の同名漫画を原作にした本作は、2015年に世界文化遺産に登録された長崎県長崎市の「軍艦島」(端島)が舞台。
監督は、『古都』(2016)のYuki Saito。軍艦島を臨む海辺の町で、気の荒い主人公・海星とその家族の愛の絆がリアルに描かれる。他に、加藤雅也、山口まゆ、濱田龍臣、赤井英和、清水美沙、大塚寧々ら、豪華俳優陣が脇を固める。
今回は、LDHをこよなく愛する筆者・加賀谷健が、主演の佐藤寛太さんにインタビューを行なった。「基本的に何からでも逃げていいと僕は思う」と語る佐藤さんが海星役に込めた想いを聞いた。
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「軍艦島」で感じた興奮と感動
『軍艦少年』より ©2021『軍艦少年』製作委員会
――「007」シリーズ第23作『007 スカイフォール』(2012)でもロケハン地になった「軍艦島」ですが、2015年に世界文化遺産に登録されてから初めての映画撮影はどうでしたか?
佐藤寛太(以下、佐藤):僕は、幼い頃に長崎県の対馬に住んでいたので、「軍艦島」の存在はよく聞いていました。パンフレットを見て想像は付いていましたが、いざ撮影前に船で近づいて行くと、島が自分が思っていたより大きくて。ここに昔、人が暮らしていたんだなと。島の外周からもありありと分かる住居跡が見えました。
すごいワクワクしましたが、いざ島に上陸すると人がいないのでしんと静けさがあり、思わず黙ってしまいました。上陸前の興奮がふつふつと沸き上がる感動に変わりました。
――そうした感情の変化は、濱田龍臣さん演じる純と純のいとこの3人で軍艦島に初めて向かう場面で活かされましたか?
佐藤:撮影が初めて接近した瞬間だったので、その印象はそのままその気持ちとして活かされていたと思います。意識はしていませんでしたが、降り立ったあとの静けさを島全体から感じて、自分の感情のままに自然体に演じました。
自然体でリアルな海星役
――柳内大樹さんの原作漫画の世界を佐藤さんが自然体でリアルに表現されていました。
佐藤:柳内さんの漫画は大好きです。『ギャングキング』などを読んでいました。『軍艦少年』はリアルな人間描写が多く、ファンタジーというより、自分にとっての身近な物語であったことが、リアルな演技に繋がったかもしれません。
――佐藤さんご自身と海星の性格を比べるとどうでしょうか?
佐藤:みんな、どこかで海星のように正直に生きたいと思っていると思います。それだけ海星は、気持ちのいい主人公で、言いたいことを言って、思ったことを行動にしています。助けてくれる仲間もいて、喧嘩も強く、男の理想です。カリスマ性のあるカッコイイ生き方の海星役に惚れました。
僕自身、真っ直ぐ筋を通していきたいなと思いますが、海星のように前だけを見て歩けてはいけません。海星は、23歳のときに演じた役です。2014年に18歳で「劇団EXILE」に加入し、映画が好きで始めた職業ですが、夢と現実とのギャップがあります。自分が思っていた理想と違い、職業としての役者は楽しいことばかりではありません。そのギャップがモヤモヤとしてあったので、それをこの作品で海星と自分を照らし合わせながら出せたのは嬉しかったです。