中国の不動産がらみの金融危機が起きるのでは

 この10数年の中国の国内景気をけん引してきた大きな柱の一つは、何といっても不動産市場です。それもバブルと言っていいような状況でした。その大手、恒大グループの資金繰りに暗雲が立ち込めているのです。  

とうとう先日、ドル建てで調達していた債券のドル建ての利払いができない状況に追い込まれてしまいました。  

中国の不動産開発は、国内外の金融機関だけでなく市民など個人投資家からお金を調達し、進めてきました。かつてのバブル期の日本と大変似ています。  

しかし、その手法はいささか強引です。自転車操業的なやりくりをしているところもあるのではないかという噂が絶えません。そのため、この数年、中国の債券市場、それも不動産がらみの金融危機が起きるのではないかと心配されています。

中国政府がコントロールできるか?問題が噴出するか?

投資の極意を教えます。2022年の注目ポイントは2つ
(画像=『女子SPA!』より引用)

 今年になって特に注目されているのが恒大グループで、秋口から大型の利払いや債券の償還のスケジュールがあり債務不履行になるのではないかと心配されているのです。  

実際利払いや元本支払いの先延ばしはすでに行われており、12月に入り、恒大グループの株価は連日大幅に値下がりしています。  

すでに、恒大グループは2020年の秋口から資金繰りのために、全ての不動産の在庫を3割引で売るとか、所有する土地の多くを手放す、グループ傘下の会社を売却するなどしてきました。  

恒大グループは不動産事業だけでなく、ミネラルウォーターや電気自動車からプロサッカーチームの経営など多角的な事業を行なっており、破綻するとなるとその影響はどれほどになるのかわかりません。  

中国政府は、恒大グループの問題であり市場全体は健全であるとしているものの、果たしてこれは一企業だけの問題かという疑いの目が向けられています。  

まもなく2021年北京冬季オリンピック、パラリンピックが開催されます。中国政府の国家の威信をかけた大イベントです。市場参加者の中には、北京オリンピック後に本格的に問題が噴出するのではないかと言う人もいます。  

中国の債券市場の闇の部分を中国政府がうまくコントロールできるのか、それとも噴出して世界中にその影響が及ぶのか。2022年の経済を見るときの二つ目の大きなポイントだと思うのです。そして、これらも株価に影響を与えるでしょう。