①みんないい人。トークに毒気がない

 水卜アナのキャラといえば、何にでも体当たりで挑んで全力投球。いっぱい食べて、ガハハと笑って、時には涙も流す。ポジティブな一生懸命さは、多くの人が好感を抱くものでしょう。

 しかし、いち個人としてのキャラが番組全体に波及している感じが、かつて『ZIP!』にあった抜け感やユーモアを奪ってしまっているのですね。前任の桝太一アナも“いい人”ではありましたが、番組コーナーの合間でのトークには、ほんのりイジワルだったり皮肉屋の一面が垣間見えました。それが爽やか一辺倒ではなく、ほどよいスパイスとなっていたのです。裏で『The Time』(TBS)をやっている安住紳一郎アナウンサーにも、その種の毒気があります。

 そこへいくと、水卜アナは一本調子なのです。誰に対しても優しくて和を重んじる姿勢に他の出演者も同化してしまって、いじり合いができなくなってしまっている。一見盛り上がっているようでも、会話にリズムがなく、だいたい予定調和で終わってしまう。本当の意味での言葉のやり取りがないのです。
 総合司会という役目は、時には“ワルい”人にならなければならないのかもしれません。