三拍子のリズムにあわせて踊る、伝統舞踊

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

ミンサルプリチュムの名手、趙甲女(チョ・ガムニョ)氏
風がふわりとそよいでいるかのような足踏み。空間を大きく揺るがすほどの身のこなしをしたかと思うと、繊細で奥深い静かな動き。

丹田(下腹の内部にあり、気力が集まるとされる所)で呼吸をしながら、三拍子のリズムにあわせて踊る独特の世界を持つ伝統舞踊は、朝鮮半島の人々に愛され続けている伝統芸能です。

韓国の伝統舞踊は、宮中の宴で演じられた「宮中舞踊」と、民間に伝わった「民俗舞踊」の2つの系統に分けることができます。起源は定かではありませんが、長い歴史のなかで様々な踊りが育まれ脈々と受け継がれてきました。

宮中舞踊

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

呈才(チョンジェ)とも呼ばれ、「静中動」の美意識を追求し、節制された美しさを誇る宮中舞踊。静中動とは、一見、静に見えるものの中に動のエネルギーが凝縮されているということであり、それがゆったりとした宮中舞踊に力強いものを感じる所以でもあるといわれています。

また、宮中で踊るため上品かつ優雅に踊らなければならず、頭の装飾や衣装には、宮中建築に通じるまばゆいばかりの極彩色が多く使われています。
宮中舞踊は王権政治が確立された三国時代以降、饗宴や国賓のための宴会の席で行われてきました。その大部分は王室の尊厳や威厳を称賛する内容で、芸術的な面を強調したのが特徴的です。

処容舞 重要無形文化財第39号、ユネスコ無形文化遺産

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

荘厳で神秘的な男性の舞
仮面と調和し活気に満ちた動きの処容舞(チョヨンム)は、五方色(青・白・赤・黒・黄)の衣装をまとった男性の踊り手5名による踊りで、2009年にはユネスコ世界文化遺産に登録されました。

色に当てられた5つの方角(東・西・南・北・中央)が重要な意味を持ち、5人が対面や円、四角形、五角形、行進といった様々な隊形を作りながら踊ります。新羅時代に始まった舞で、宮中の饗宴で公演されていました。

鶴蓮花台舞 重要無形文化財第40号

コミカルにも見えるが、優雅な動作に目を奪われる舞
鶴蓮花台舞(ハッギョナデム)は、朝鮮時代の前期、宮中で悪鬼を払うために行われた儀式の後に催された舞。鶴の優雅な姿やしぐさを鶴の仮面と衣装を身に着けた女性の踊り手2人が演じる鶴舞(ハンム)と蓮の花の中から童女が現れ、舞を披露する蓮花台舞(ヨナデム)という2つの舞踊からなり、動物と人間が交流する世界を表現した独特の内容で、その高い芸術性が貴重とされています。

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

鶴舞

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

蓮花台舞

春鶯舞

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

花紋席の狭い空間の中で舞う
鮮やかな衣装と頭に花冠(チョットリ)をつけて舞う春鶯舞(チュネンム)は、朝鮮王朝23代王の純祖(スンジョ)の息子である孝明世子(ヒョミョンセジャ)が創作した宮中舞踊の一つ。

6尺×8尺の花紋席(ファムンソッ)と呼ばれる花ござを敷いた狭い空間の中だけで、心の限り自分の世界を表現する舞いです。

舞鼓

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

中央に置かれた太鼓を響かせながら踊る
舞鼓(ムゴ)は、真ん中にある大きな太鼓の周りで踊りながらその太鼓を叩く舞いです。踊りの形状は一組の蝶々がひらひらと飛んで花を漂うようだともいわれます。

叩き方にも様々なバリエーションがあり、伴奏で使われるチャンゴなどの楽器と一緒に叩いたり、1拍子ずつ間をあけながら叩くなど変化をつけて踊ります。

民俗舞踊

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

民俗舞踊は、庶民の生活と感情をいきいきと表現する一方、社会を批判する内容を扱ったものも多いことが特徴です。また、庶民たちの生活感情に根差しているため、娯楽の要素が強く、ステップを踏みたくなるような心躍らせるリズムがあちこちに現れます。

ひとりで踊る舞もありますが、その場にいる人々が一緒に参加できるものが多く、庶民の美意識から生まれた創作舞踊だともいわれています。

カンガンスルレ 重要無形文化財第8号、ユネスコ無形文化遺産

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

女性たちが月と一体となって共鳴しあう
全羅道(チョルラド)地方に伝わるカンガンスルレは、秋夕(チュソク)の民俗遊びで、女性たちが手をとりあい円を描きながら集団で踊ります。

空高く上った満月を眺めながら踊るため、この満月が女性たちの恨(ハン)と願いを聞いてくれる対象になるといわれ、かつて身分的制約が多かった女性たちが生命力を発散する踊りでもありました。

僧舞 重要無形文化財第27号

伝統舞踊
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

人生の苦悩や哀歓を表現している格調高い舞
白い頭巾を被って踊る僧舞(スンム)は、人生の苦悩や哀歓を表現している踊りです。

約10の小演目から構成されており、念佛(ヨンブル)で荘厳な宗教的雰囲気とゆっくりとした優雅な動きを表現したかと思うと、後半の「法鼓」は僧侶の煩悩の葛藤を表現したもので、悪を追い払い精神を昇華させていく意味が込められており、リズムの複雑な変化が絶妙です。