転職前に再度検討すべきことは
30代以降の転職こそ、漠然と「転職したい」と考えるのではなく、「なぜ転職したいのか」をはっきりさせることが重要になります。
なぜなら、20代と違い30代以降は「自分のことだけ考えた転職ができなくなる時期」だからです。
(1) これから起こりうるライフイベントを考える
「結婚」、「妊娠」、「出産」、「育児」などプライベートでもさまざまな変化がある時期だからこそ、30代で転職する際はキャリアプランに加えて今後起こりうるこれらのライフイベントを考えましょう。
パートナーがいる場合、転職活動を始める前に二人でよく相談しましょう。
せっかく志望企業から内定が出たあとで、「嫁がどうしてもイエスと言わないので、残念ですが入社を見送ります」という事例に複数回遭遇しました。
「もうすぐ娘が結婚する。●●会社の●●部部長という肩書で結婚式に出てほしいといわれた。転職先の▲▲社では出席者は誰も知らないから恥ずかしいといわれた」
こんな理由で転職を諦めたシニアもいました。年収が現職より30%もアップする条件提示で、新規事業の立ち上げに参画するという希望をかなえられる転職でしたが、ご家族の強い反対で諦めることになったのです。
「採用前に余計な心配をかけるより、採用が決まったら家族はそこから説得すればよいと思っていた」という方も多いですし、ご家族やパートナーと日頃から自分自身の仕事に対する価値観を話しておくことを嫌う男性もいますが、私は最初の面談から「転職活動をしていることをきちんとご家族に話しておいてほしい」とお伝えするようにしています。
(2) 第三者に相談する
ここまでお読みになった読者の中には、「人材紹介会社経由で転職する場合、採用にお金がかかってハードルが上がるなら、自己応募したほうが有利かも」と思われた方も多いと思いますが、実際、一人で悩んでいても解決しない問題はあります。
転職活動で行き詰まりを感じて悩んでいるのなら、利害関係の絡まない第三者に、相談してみるのも一つの手です。
前提条件を知らない第三者に自分の置かれている状況を相談するとき、人は自分が抱えている問題や自身の気持ちを論理的に説明しようと努力するものです。明確なキャリアビジョンが描けている場合は別ですが、何となく「転職したい」と決めてしまっている場合、ところどころ再考の余地や論理のほころびが見えてきます。
第三者にご自分の経歴や“日頃の思い”を話すことで、自然と考えが整理され、今後のキャリア構築を前向きに考えるきっかけになったと仰る方もいます。「自分が発した言葉に自分が一番驚いた。こんなことを考えていたのか、考えを言語化することって大事だなと思いました」とすっきりして帰られる方もいます。
市場価値を確認すること
その【第三者】が人材紹介会社のキャリアコンサルタントである場合、転職市場での自分自身のリアルな“市場価値”を確認することができることも大きなメリットです。
今回は、20代と30代以降の転職活動の違いについて考えてみましたが、もし今のあなたの悩みにこたえるヒントが隠れていたらうれしいです。
それでは、またお会いしましょう!
キャリアアドバイザーA
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