HFPAのスキャンダルは、1958年の投票方法に始まり、「エミリー、パリへ行く」で何と8回目とか. . .2010年に映画「バーレスク」自体の興行はポシャったにも関わらず、最優秀ミュージカル部門にノミネートされ、ラスベガスで接待を受けた見返り票だ!と責められたのが、私の記憶に残っています。今回も匿名のHFPA会員が「この番組(「エミリー」)は、2020年のベスト作品にはふさわしくない」と断定したのには、正直びっくりしました。ゴールデングローブ賞は、毎年アカデミー、エミー賞が目もくれない一風変わった(毛色の違う)作品に賞を授与する団体としての歴史が長いからです。「エミリー」ファンの私は、そんなに槍玉に挙げないでよ!と悲しくなってしまいました。ですから、エミー賞コメディ部門にノミネート発表があった時には、「ほら、ご覧!」とほくそ笑んでしまいました。残念ながら賞はとれませんでしたが、馬鹿にしている人達を見返すことができて、本望でした。たまには、何も考えずに、単に満喫するだけの軽いノリの作品があっても良いと思うのは、私だけではないと言う証拠です。
先日送られてきた評論家用の試写版5話を観た所、パリやサントロペの絶景がふんだんに観られるものの、先ず一番大きな違いは、これってミンディー(アシュリー・パーク)の歌唱力を証明するためのシーズンなの?と思う程、ふんだんに時間が割かれている事でした。話の展開ネタが尽きてしまったから?とマジで疑ってしまいました。
次に、アメリカでは馴染みのないフランス人俳優フィリピーヌ・ルロワ=ボリュー(シルヴィー役)、サヴォア従業員ブリュノ・グエリ(リュック)やサミュエル・アーノルド(ジュリアン)等を起用したので、エミリーが少々サヴォアに馴染んだ状態と仮定して、フランス語の会話がかなり増えた点が目立ちました。字幕付きのドラマ苦手人間には、面倒なシーズンです。
コロナ禍がもたらしたパラダイムシフト現象の一つとして、米国では字幕付きのドラマに抵抗を感じる視聴者の激減があると言われています。その事実(?)を前提に、シーズン1で控えていたフランス語の場面が激増しました。ロマコメだから軽く流せば良いのかも知れませんが、仏語会話の内容をしっかり把握しようにも、字幕を読んでいるとキャラの表情や動作を見逃すので、最低でも二度観しなければなりません。しかも、字幕が瞬時に変わるため、読み切る事ができず、一時停止機能を何度も何度も使って字幕を読む操作が超面倒で、興醒めも良い所!