個人事業主や起業家という肩書きには一切こだわりがなく「事業を起こすこと」に関心があったという野本 愛さん。事業を広げるために、法人化という選択があり、またその選択の先で「自分にとっての強み」が見つかったと言います。苦手意識を克服したエピソードや、今の彼女が大切にしているものについて、お話を伺いました。

個人事業主や経営者というような「肩書き」には興味がなかった

「自分にとっての最大の武器が見つかったから」
(画像=『Cinq』より引用)

早速ですが、現在のお仕事について教えてください

ヒメモードジャパンという会社を立ち上げ、『ナチュレーヌ』という女性用のウィッグ販売を行なっています。もとは個人事業主として、アクセサリー仕入れ・販売を行なっていたのですが、ある時にウィッグのプロデュースについてのお話をいただいたのが今の事業を始めるきっかけになりました。

最初はコスプレやオシャレの一環として、ウィッグを販売することを予定していたのですが、ウィッグの品質がすごくよかったので「これは悩みを抱えている人へ展開した方が喜んでもらえるんじゃないか」と考えました。

ウィッグは年配の人がつけるイメージがあると思うのですが、実は30代や40代女性、またストレスを抱えた若い学生さんでも、薄毛を気にしている人が居ます。けれど、有名な会社さんのウィッグはすごく高価で、なかなか手を出すことができないのが現状です。

病気や怪我、妊娠などでホルモンバランスが崩れて髪が薄くなってしまった方、ストレスで円形脱毛症になってしまった方……。そういった人たちへ手軽に、コンプレックスを軽減してくれる手段として、オーダーメイドシステムを採用したウィッグの販売を行うことにしました。

個人事業主から、法人化するまではどのような経緯があったのでしょうか?

2009年から個人事業主として活動していました。法人化したのはそれから5年後のことです。

個人事業主の頃は、海外からアクセサリーを輸入して、通信販売を行なっていたのですが、ポップアップストアを百貨店にオープンことが決まったときに、「会社がある方がいいな」と思って法人化することを決めました。大きな百貨店との契約書を結ぶ場合は、法人名義がある方が信用度が増すからです。

会社を作ってからウィッグの事業も本格始動しました。

ホームページからお問い合わせをいただいたら、ウィッグの試着や採寸を行って、その人に合ったウィッグを作りお渡しする、という流れなのですが、やはりホームページにも会社という実態があることが信頼や安心感に繋がっているのかな、と思います。

「個人事業主」を経て「会社経営」を選んだ野本さんですが、いつから事業を起こすことに興味があったのでしょうか?

物心のついた時から、両親に「女の人生は結婚だけじゃないから、自分の夢は自分で叶えなさい」と言われていたのが大きいです。

実はIT系のベンチャー企業で会社員として働いていた経験があるのですが、会社員の頃は「給料をもらうこと」が第一の目的になっていて、自分から積極的に行動して、仕事をするということがほとんどありませんでした。今考えると、なんて贅沢なことなんだろうと申し訳なく思いますが……。その時はいかにラクして働くか、今日のランチは何にしようかな? ということばっかり考えていました(笑)

会社員、個人事業主、経営者……このような肩書きには特にこだわりはなく、単純に「人生一度きりなので、何かに挑戦したい」と思ったことがきっかけで事業を起こすことに踏み出しました。事業を行うのには、法人化するのが一番よかった、という感じです。

苦手意識が無くなったのは、自分の中に「愛情」が芽生えたから

2.「自分にとっての最大の武器が見つかったから」
(画像=『Cinq』より引用)

事業を起こしたことによって気づいたことはありますか?

気づいたことは、たくさんあります。
アクセサリーの販売を始めたのも、大学生の頃からアパレル定員に憧れがあったことが大きいです。実際にアルバイトに行ったこともあるのですが、色々あって3日で辞めてしまいました(笑)

そのとき、私は「販売員」には向いてないって気づいたんです。

だから通販と言う形で、アクセサリーを販売することにしました。

けれど、百貨店のポップアップショップが決まったら、店頭に立たなくてはなりません。もちろん最初は不安でしたが、その時気づいたのが「自分で選んだアクセサリーなら売れる」ということです。アルバイトでは3日も頑張れなかったのに、百貨店のポップアップショップなら、楽しみながら頑張ることができました。もちろん体力的な疲れはすごく大きかったけれど、苦手だった店頭販売のイメージはガラッと変わりました。

そこから、仕事に一番大事なものは「愛」なんだって気づいたんです。

「こうしたら売れる」というようなテクニックはたくさんあるし、自分自身も研究しました。けれど、自分が本当に良いと思わないものじゃないと売れない。ウィッグの販売でも

これは同じだと思っています。
素材が良いからこそ、本気で悩んでいる方のコンプレックス解消のお手伝いができる。アクセサリーとは違って、あまり大きな声で人に言えるようなものではないと思うので、より「その人の悩み」に寄り添って向き合うようになりました。

メインの事業をアクセサリー通販からウィッグの販売に変えたのも、それが理由だったのでしょうか?

そうですね。アクセサリーの販売を行なっている時は「オシャレ」や「楽しそう」とよく言われましたが、ウィッグの販売をしていると「大変そうだね」と言われることがよくあります。イメージだけでいうと、アクセサリー販売の方が響きが良いとは思います。

けれど、人に求められている割合としては、ウィッグの販売の方がはるかに大きい。ここにビジネスチャンスがあると感じました。

3.「自分にとっての最大の武器が見つかったから」
(画像=『Cinq』より引用)

女性用オーダーメイドウィッグ専門店「ナチュレーヌ(Natureine)」で用意されているウィッグのサンプル