家では悲しいレス妻、外では思わせぶり上級者

 そんな彼女は10歳年下の同僚・真山が気になっている。真山のほうは気になるを通り越してかなり惹かれている。あまり他人に興味を示さない真山だが、純に対しては別だ。そのことで先輩から注意を受けたりもしていた。それでも自分の気持ちは抑えきれない。  ある日、会社帰りに、ふたりは海の見える公園のようなところでクロスワードパズルの勝負をするのだが、途中で真山の携帯が充電切れになってしまう。

「リベンジさせてください」と言う彼に、純は楽しそうな笑い声をあげ、こう返す。 「元気になりました」


 これ、男を惹きつける彼女の天賦の才なのだろうか。とにかく純という女性は、自分に好意をもってくれている真山の心を手玉にとるような言動をとっている。  

元気になった、と聞いたら、「元気じゃなかったんですか」と言うしかない。彼女に好感を抱いている男性なら、当然、「僕が元気にしてあげたい」と思うだろう。それを見越して、元気になりましたと言う女性はなかなかのつわものである。思わせぶりテクニック上級者だ。