【5】歴史遺産の病院をリノベーション:Marrickville Library(マリックビル図書館)
個性的でディープな街「Newtown(ニュータウン)」のお隣、シドニーのインナー・ウェストにある「Marrickville(マリックビル)」。そこにある「Marickville Library(マリックビル図書館)」は、古い病院をリノベーションしたサスティナブルな図書館です。
場所はマリックビル駅から徒歩10分。Marrickville Road(マリックビル・ロード)とLivingstone Road(リビイングストーン・ロード)の交差点にある大きなサンクン・ガーデンが目印です。この1,200㎡あるガーデン広場では、映画の上映会やワークショップなどのイベントが行われます。
マリックビル図書館は、1800年代に建てられた州の歴史遺産「マリックビル病院」の建物を残したまま、2019年8月に新しい図書館へと姿を変えました。当時病院で使われていた30,000個近くのレンガや窓枠、天井梁などを再利用していて、新旧が絶妙なバランスで融合しています。設計は【2】の「ウラーラ図書館」もデザインした「BVN Architecture」が担当しています。
エントランスに広がる大きな吹き抜けのホワイエは、等間隔に並ぶ大きな柱と張り巡らされた木製ルーバー、階段状に積み上げられたベンチが印象的な空間です。屋根に点在するトップライトや広場に向かって開いた大きな窓からは眩しいほどの光が入ります。
建物は旧病院部分を覆うように建てられ、ベンチの奥には建物内の空気を循環させる換気システムを設置し、各所で使われている木製ルーバーには鉄道橋で使われていた廃材を使用するなど、エネルギー消費の削減を意識しながら、建物に軽快さと温かみを与えるサスティナブルなデザインです。
建物北側には子供用閲覧室が、その奥にはプレイグラウンドがあります。寝ている黄色いカンガルーの彫刻は、昔この辺りに生息していたイースタン・グレイ・カンガルーを表現したものだそう。
因みにマリックビルは、シドニーでも有数の自家焙煎コーヒーを出すロースタリー・カフェが軒を連ねるエリア。こちらの図書館にも、シドニー各地のカフェに豆を卸す地元の有名店「Double Roasters(ダブル・ロースターズ)」の姉妹店「Side Story Cafe(サイド・ストーリー・カフェ)」があります。
図書館の中からも外からもコーヒーが購入できるつくりになっていて、図書館内にもテーブルと椅子、外部にはガーデン広場を見渡すテラス席もあります。ちょっと疲れた時に、味はお墨付きの美味しいコーヒーを飲みながら休憩やランチができるのが嬉しいですね。
開放的な空間とリサイクルした木やレンガの質感、そして窓から入る光が柔らかくやさしい雰囲気を醸し出す、温かみのある居心地いい図書館です。
【6】日本人建築家・隈研吾氏が設計:Darling Square Library(ダーリング・スクエア図書館)
シドニー・ハーバー沿の再開発エリア「Darling Square(ダーリング・スクエア)」にあるのは、新国立競技場も設計した世界的に有名な建築家・隈研吾氏設計の「Darling Square Library(ダーリング・スクエア図書館)」です。
場所はシティの中心にある「Town Hall(タウン・ホール)」駅から徒歩10分。ダーリング・スクエアの中心、高層ビルの狭間にある木製スパイラルのファサードが印象的な複合ビル「The Exchange(エクスチェンジ)」の中にあり、建物内には図書館以外に、カフェやレストラン、コミュニティスペースや託児所などがあります。
建物をぐるりと囲う印象的な木製スパイラルは、Accoyaという再生木材を丸く曲げて何層にも重ねたもの。まるで都会の中に佇む「鳥の巣」のようです。元々あったHay Market(ヘイ・マーケット)図書館がリニューアル移転したもので、不規則に並んだ細い木材を眺めながら階段を上っていくと3Fにあります。
鮮やかなブルーの螺旋階段とカラフルな恐竜の彫刻がポップな印象のエントランスホール。このおもちゃを組み合わせたプラスティックの彫刻「Toysaurus」は、2018年のシドニー・フェスティバルで展示されたアーティスト・藤浩志さんの作品です。
図書館は3〜4Fの2フロアで構成され、3Fにはコンピュータールームやワークショップスペース、4Fには読書スペースと書庫が並びます4Fの北側には本棚でゾーニングされ、カラフルな家具やクッションが並んだ子供向けのスペースもあり、明るくリラックスした雰囲気です。
建物の顔でもある木製のスパイラルは、周囲を囲う高層ビルからの視線や圧迫感を適度に緩和し、直射日光を遮って館内に柔らかい落とすという役割も。ご紹介した他の図書館に比べ座席数は少なめですが、座り心地の良いソファや気持ちのいいテラス席もあり、高層ビルの間にありながらも居心地のいい空間です。
個性的なファサードに比べてインテリアはかなりシンプルですが、各フロアの位置を微妙にズラして光や空間に微妙な変化を付けているなど建築的には面白い仕掛けも。ファサードだけでも見る価値ありの建物なので、建築好きでなくても訪れて欲しい図書館です。
シドニーで訪れたい、定番じゃない穴場スポット
わざわざシドニーまで来て図書館に訪れる機会はなかなかありませんが、シドニーには今回ご紹介したような個性的な図書館があります。全ての図書館はWi-Fiも完備していて旅行者でも利用可能です。建築・デザイン好き、デザイン好き、フォトジェニックなスポット好きな方はにオススメのスポットです。
シドニーに訪れた際はオペラハウスやハーバー・ブリッジなどの定番観光スポットもいいですが、それに飽きたリピーターの方や、人とは違ったシドニーを楽しみたい方は「シドニーで図書館巡り」をしてみるのはいかがでしょうか。
提供・トリップノート
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