【3】サスティナブルでエコなデザイン:Surry Hills Library(サリーヒルズ図書館)
素敵なカフェやレストラン、ショップが立ち並ぶことで有名なおしゃれスポット「Surry Hills(サリーヒルズ)」。その目抜き通りCrown Street(クラウン・ストリート)沿いにあるのがガラスと木製のルーバーが印象的な「Surry Hills Library(サリーヒルズ図書館)」です。
1956年に建てられた旧図書館の老朽化に伴い、シドニーを拠点にする有名建築設計事務所「FJMT」によって、サスティナブルな建物として生まれ変わりました。インパクトのある外観はファッションビルのようで、筆者も初めて目の前を通った際、新しいショップがオープンしたのかと思ったほどのインパクトがあります。
この図書館でまず目を引くのは、ファサードのガラスと木製ルーバー。太陽の位置によって傾きを変える「太陽追尾型」のルーバーを採用しているので、時間が経つにつれて建物の表情を変えるのも楽しいです。道路を挟んだ東側には毎月月1開催のヴィンテージ・マーケット「サリーヒルズ・マーケット」が行われているShannon Reserveという公園、南側には空き地があり、遠目からも見えて独特の存在感を放っています。
そのデザイン性も去ることながら「ガラスの壁で自然光を利用」「木製ルーバーで熱負荷軽減」「屋上緑化」「ソーラーパネル」「雨水利用」などなど、あらゆるサスティナブルな機能を盛り込んでいることで、国内外の様々な建築賞も受賞しています。
敷地のスペースがあまり広くないのでダイナミックな広がりは感じられませんが、天井が高い1Fは三方がガラスで囲まれていて、外部に公園もあることから視線が抜ける開放感があります。B1Fにある読書室は、カーテンウォールと吹き抜けによって地階ながら明るい光が降り注ぐ空間です。
書籍だけでなく、DVDや雑誌、日本のマンガもあり、オシャレな街「サリーヒルズ」に因んでファッションやデザイン関連の蔵書が多い印象です。サリー・ヒルズ地区のほぼ中央に位置し、斜め前には有名なパブのThe Clock(ザ・クロック)、近隣には美味しいカフェがたくさんある絶好のロケーションにあります。セントラル駅からは歩いて10分弱の距離なので、カフェ散策がてら訪れてみてはいかがでしょうか。
【4】レインボーカラーの地中図書館:Green Square Library(グリーン・スクエア図書館)
2018年にオープンしたばかりの「Green Square Library(グリーン・スクエア図書館)」は、ガラスのピラミッドとタワー以外の施設がほぼ地中に埋まっているという独創的なデザインの図書館。ターミナル駅である「Central(セントラル)」駅から1駅の場所「Green Square(グリーンスクエア)」駅を降りた目の前の広場にあります。
地下に埋まった斬新なデザインは「市民憩いの広場に影を落とさない」というコンセプトの元、オーストラリアの設計事務所「Stewart Architecture」が担当。2018年Architecture Reviewの最優秀図書館賞を始め、オーストラリア国内だけでなく世界中で様々な賞を受賞しています。
ピラミッドから中に入りカフェを抜け、地下に向かう階段を降りると、中央には大きな丸い光庭が。天井に点在するトップライトや光庭から降り注ぐ自然光のおかげで、地下にいるにもかかわらず薄暗い閉ざされた雰囲気は全くありません。地下にいるのに逆に外を感じる不思議な空間です。
円形の中庭は光を取り込むだけでなく、照明やソファなど様々なインテリアに使われている丸型モチーフと相まって、図書館全体の空気感と統一感を作っています。
子供向けサービスも充実していて、読み聞かせなどのイベントやワークショップも随時開催しています。本棚に埋まったカラフルな子供用のソファもカワイイです。図書館が本を収蔵する場所としてだけではなく、地域コミュニティの憩いの場となっています。
館内には様々なアート作品やインスタレーションが展示してあり、コンピューター・ラボや音楽室などが入ったガラスのタワー内には、図書館の目玉展示の1つであるレインボーカラーに彩られた本のインスタレーションがあります。
こちらはフォトジェニックな場所としてインスタグラムを始めSNSでもよく見かける人気撮影スポットです(あくまで読書室なので、他の利用者の迷惑にならないようご注意を)。
日が暮れてくるにつれガラスに夕日が反射して、何とも言えない美しい表情を見せます。まるで地中から突き出た光の彫刻のような図書館です。