もしワクチンを打ったことが原因で健康被害が出た場合、国が補償する「予防接種後健康被害救済制度」を利用できる可能性があります。新型コロナウイルスのワクチンはもちろん、その他のワクチンも対象になる制度です。どんな内容なのか解説します。

「予防接種後健康被害救済制度」とは

ワクチンを打ったあと、感染症予防というプラスの効果だけでなく「副反応」というマイナスの効果もいっしょに発生することがあります。

副反応の多くは一時的な発熱や腕の腫れなどで、世の中に出回っているワクチンは、マイナスの効果よりもプラスの効果のほうが大きいと判断されたものです。

ただ、なかには軽度の副反応だけでおさまらず、ワクチンが原因で病気になったり障害が残ったりするケースもあります。そんな場合の救済措置として用意されているのが「予防接種後健康被害救済制度」です。

その病気や障害がワクチン接種によって発生したものと厚生労働大臣が認めたときには、この制度を通じて医療費や障害年金などの補償を受けることができます。厚生労働大臣は、専門家からなる国の審査会がワクチンと健康被害の因果関係について審査した結果をもとに認めるかどうかを判断します。

この制度は、新型コロナウイルスのワクチンだけでなく、あらゆる定期接種・予防接種を対象としています。

どんな補償が受けられる?救済制度の内容

予防接種後健康被害救済制度が適用されることになれば、以下のような補償を受けられます。

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(画像=厚生労働省「予防接種健康被害救済制度について」)

ワクチンの種類によって、受けられる補償が違います。A類には新型コロナウイルス、風疹、破傷風、結核など、B類には季節性インフルエンザや高齢者の肺炎球菌感染症などが分類されています。

ワクチンを原因とする病気や障害の治療にかかった費用は「医療費」や「医療手当」で、障害が残った場合は「障害児養育年金(18歳未満)」や「障害年金(18歳以上)」、亡くなった場合は「死亡一時金(A類)」か「遺族年金(B類)」、「葬祭料」など状況に応じて補償されます。