日本のヒットチャートでも強いのは結局BTS

 そう考えると、みんな知っていてニュース番組でも取り上げられるレベルなのが、冗談抜きでBTSだけなのです。10月6日付のチャートでも、トップ100に6曲ランクイン。そのうち、「マイ・ユニバース」(英ロックバンド・コールドプレイとのコラボ曲)、「Permission to Dance」、「Butter」、「Dynamite」が、トップ20内にあり、衰え知らずの勢いです。
 そのBTSだっていまさら紅白には出ないでしょうけれど、番組に軸を作るのであれば、彼らの存在は欠かせないように思います。それはBTSがいい悪いではなく、エンタメも世間の実情を反映すべきであるという側面から必要だ、という意味ですね。なんだかんだ、昨年から今年にかけて一番耳にした曲は「Dynamite」なのですから。

嵐もいない2021紅白、もうBTSに頼むしかない? 苦しい出場者予想
(画像=『女子SPA!』より引用)

今年6月に発売された『BTS, THE BEST』 (初回限定盤B)。日本で100万枚を突破している

今年の米津や髭男は、お見事だけど小粒

 そして紅白が抱えるもうひとつの課題は、実力をともなった世代交代の実現です。一昨年や昨年でいえば、米津玄師、あいみょん、髭男、King Gnuといった名前が挙げられましたし、それぞれに名刺代わりの曲がありましたが、今年はそういう存在が皆無でした。その彼らにしても、今年の曲はいずれも低調。それは売上ではなく、質や傾向の問題です。  確かに米津玄師の「死神」は、日本のヒットチャートに限定すれば、かなりの緊張感と実験的要素を持った曲でした。でも、いかんせん表現やプレゼンテーションの方向が内向きなのです。米津玄師のファンを驚かせ、裏切ることはできても、そこから先に届く力までは持っていない。
 ドラマ『リコカツ』(TBS)の主題歌「Pale Blue」も、入り組んだメロディと転調に創意工夫の跡は見られても、ひとつの曲として訴えかける迫力には欠けていました。それは、「Lemon」や「パプリカ」にはあったものです。