今年の新顔では、藤井風?

 同じことは髭男の「Cry Baby」にも言えます。ヘヴィなロックからAORまでを飲み込み、組曲のようにまとめあげるアレンジ能力。さらには、ワンフレーズごとに転調しながら、日本のポップスとしての“うた”に落とし込む手際はお見事と言うほかありません。
 しかし、皮肉なことに、その手の優秀さを追求するほどに間口は狭まっていく。木の幹ではなく、枝葉に腐心しているように見えてしまう職人気質が、パフォーマンスから色気を奪ってしまうのです。その艶こそが、「Pretender」の肝だったのに。  もちろん、彼らが紅白に選ばれても何の文句も出ないはずです。でも、今年に関して言えば、年末を締めるにふさわしい大きな器を持った曲はなかった。残念ながら、米津、髭男を超えるインパクトを与える新しい才能も現れなかった。“じゃあ藤井風なんてどう?”と思われるかもしれませんが、彼もどちらかといえば玄人受けしてしまうタイプでしょう。

器用な人はいっぱいいるけど決め手に欠ける

 気が利いた曲を作る器用な人はいっぱいいるけど、なんだか決め手に欠ける。そんな現状も、紅白にとっては悩ましいところなのかもしれません。  コロナ禍に加え、時代の過渡期にあえぐ音楽シーン。そんななかでの今年の紅白には、一体どんなメンツが揃うのか。楽しみに待ちましょう。 <文/音楽批評・石黒隆之>

石黒隆之
音楽批評。カラオケの十八番は『誰より好きなのに』(古内東子)


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