ヨガのクラスに参加していると時々インストラクターが「アパジャバをしてください」 とおっしゃることがあります。 多くの人が聞き慣れない言葉にびっくりしたりキョトンとしたり、周りをキョロキョロしてしまったりするようです。

しかし、この「アパジャバ」、実際ヨガの練習を始める際に1番最初に行ってほしいことの1つになります。

ここではアパジャバの実践方法やその効果について詳しく解説していきましょう。

アパジャバとは、ありのままの呼吸状態を観察すること

『YMCメディアカルトレーナーズスクール』より引用
(画像=『YMCメディアカルトレーナーズスクール』より引用)

「アパジャバ」とは「呼吸の観察」「呼吸の内観」と訳されます。

皆さんは、ヨガの練習をどんなアクションからはじめますか?

瞑想から、マントラから、呼吸法から。

いろいろなアプローチがありますし、どの方法も正しいのですが、私自身はアパジャバからスタートすることが多いです。

これは私がトレーニングを受けていた際に、恩師からアパジャバの重要性について説明を受け、日々実践をしていた影響です。

ただし、ヨガにはいろいろな流派があり、インストラクターの資格を持っている方でも「アパジャバという言葉は聞いたことがない」とか「アパジャバをしたことがない」と話す人もいます。

そのため、クラスの中で「アパジャバをしましょう」とインストラクションする先生はそれほど多くないように感じます。

特にオンラインヨガになると、アパジャバは非常に個人的な練習であるため、実践しない先生の方が多いように感じます。

ヨガの練習をアパジャバ(呼吸の観察)からスタートしてみよう

『YMCメディアカルトレーナーズスクール』より引用
(画像=『YMCメディアカルトレーナーズスクール』より引用)

アパジャバは呼吸の観察なのでいつでも行うことができますが、「さあ、ヨガをはじめよう」というスタート時に行うことをおすすめします。

「マットの上にスッカーサナ(安楽座)やバジュラアーサナ(正座)など、楽な姿勢で座ったら目を閉じてただ意識を呼吸に向けて観察を行う」

これだけです。

呼吸の観察といっても何を観察すればいいかわからないという方は以下のような点を観察してみてください。

  • 吸う息の長さはどれくらいか
  • 吐く息の長さはどれくらいか
  • 右の鼻の穴と左の鼻の穴のそれぞれの違い
  • 鼻腔の奥の感覚
  • 肺や肋骨が動く様子
  • 背中や腰が動く様子
  • 体のどこに酸素が届いているのか
  • 体のどこに呼吸が入りにくいのか

観察の時間に決まりはありませんが、1〜3分程度の観察で何らかの気づきがあるはずです。

とにかく、ただ座っただけの状態で今のありのままの自分の呼吸を観察するのです。

これは呼吸法ではありません。

スッカーサナで座って目を閉じると自動的に瞑想モードになったり、呼吸法がはじまってしまう人もいますが、そうではなく「何も変えずに」「今の呼吸」を観察して欲しいのです。

アパジャバをすることで、現時点の自分の心身の状態を客観的に確認することができます。

ですから、アパジャバのタイミングで呼吸を意識的に変えてはいけないのです。

例えば鼻の穴が詰まっている時もあれば、喉や胸で詰まる感じがする時もあります。

鼻は詰まっていないのに、どうしても片方の鼻の穴でしか呼吸しづらい時もあります。

胸の広がりを感じられる時もあれば、胸が硬いと感じることもあります。

大切なことは「今のありのまま」を知ること。

アパジャバを繰り返し実践していると、やがて「自分の体調が良いときの自然な呼吸」つまり「デフォルト」がわかるようになってきます。

すると、その時の自分にぴったりのヨガの練習を行うことができるようなってくるのです。

毎日同じアーサナ(体位法)を行うことで変化や現状に気がつくこともできますが、アパジャバをすればその日は「アーサナ」よりも「プラーナヤーマ(呼吸法)」の練習をしよう、いや「ディヤーナ(瞑想)」の練習をしよう、とより自分に必要な練習をカスタマイズできるようになります。