『空気階段の踊り場』は最高のラジオです

 彼らが4年以上続けてきた『空気階段の踊り場』は劇団ひとり、安住紳一郎アナウンサー、花澤香菜、佐久間宣行プロデューサー、作家・一穂ミチ氏ら著名人のリスナーも多いが、私が皆さんにお伝えしたいのは、これに尽きる。 『空気階段の踊り場』は最高のラジオです。  以下、その魅力をわずかながらお話ししたい。  『踊り場』(『空気階段の踊り場』の略称)はドキュメンタリーラジオだとよく言われているんです。  番組内で、好きな人に公開告白、交際、結婚、子どもの誕生、離婚、新しい恋人との出会いを報告など、二人はさらけ出してきています。が、同じことをやったからといって、よいわけではない。  はっきり言って、知らんヤツの公開プロポーズは、ラジオを聞いている人間にとって、どうでもいい。少なくともエンタメになるとは限らないですよね?  が、空気階段の告白は、聞いている人間を引かせない。むしろ彼らの物語のなかへ引き込む。  それだけ彼らは過剰なんです。感情においても、やり取りの展開においても、言葉においても。

聞いていると巻き込まれるパワー系ラジオ

 水川かたまりは、番組内でプロポーズしたのですが、そもそも予定にはない突発的なアクシデントでした。また相手とは破局していたタイミングであり、鈴木もぐらが強く説得した結果、思いを告げることにして、番組収録を2時間15分中断して書いた手紙の中での「僕のお嫁さんになってください」に至ったという。  結果、号泣してのプロポーズではあったものの、途中、破局はもちろん交際していたことも公開したくない水川かたまりを、なんとか口を割らせるべく持ちかける鈴木もぐら、そのせめぎ合いがあったり、かたまりが泣いていると指摘するもぐらの口ぶりに、なんだか笑ってしまったり…など、単に予定調和の“感動モノ”というわけではないんです。

キングオブコント王者・空気階段のラジオは最高です!
(画像=『女子SPA!』より引用)

吉本興業株式会社プレスリリースより

 鈴木もぐらも、過去に誰とも交際したことがない時点で、意中の人に番組内で告白したのだけれど、もともと計画し言葉も準備していたのですが、あまりの長文に、編集作業でカットした箇所もあるというくらい、めちゃくちゃ突き抜けて思いがあふれ出しており、聴いてる側を流れに巻き込んでしまう力がある。  余談ですが、今回のキングオブコントを振り返ったマヂカルラブリー・野田クリスタルは、ファイナルステージに残った空気階段、ザ・マミィ、男性ブランコを、ストーリーや設定を重視する「シアター系」として、ジェラードン、そいつどいつらキャラクター重視だったりバカバカしい笑いの「パワー系」(決勝には残っていないが5GAP、インポッシブルなどもこちら)と対比していたが、空気階段はネタはシアター系であるものの、ラジオはパワー系なのかもしれない。