年収と健康には因果関係がある――近年、さまざまな研究によってそんな事実から明らかにされてきた。格差が広がる日本でも問題視され始めた「健康格差」が今、新型コロナの影響で深刻化している。「こども食堂」や小児科医療の現場から、低所得家庭の子供を追い詰める健康格差をレポートする。
「久しぶりの白いご飯だ」困窮家庭の食から見えるもの
「ほんの一瞬でも、相談をしたり、息抜きができることで救われることもある。かた苦しくない、緩やかな繋がりを目指したい」と三島氏
コロナ禍による生活困窮のしわ寄せは、子供たちにも迫っている。子供が一人でも行ける、無料または低額の食堂を「こども食堂」と呼ぶが、その現場はどんな状況なのか。全国のこども食堂を支援する認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の広報、三島理恵氏に話を聞いた。 「全国のこども食堂の現状と、困りごとを聞く私たちの最新のアンケート結果を見てみると、多くのこども食堂のスタッフが『地域全体の困窮度合いが目に見えるようになった』など、困窮家庭との繋がりの増加を挙げています」 一時は活動を休止するこども食堂も少なくなかったが、むすびえの調査によると現在は93.7%が活動しており、そのうち、食材やお弁当を配布する、フードパントリー活動をするこども食堂の割合は69.8%に上るという。そういった場所には親子の姿も多い。 「皆さんにお米を配ったときは『久しぶりに白いご飯が食べられるね』と呟いたご家庭があったり、年齢的に普通ならお菓子に飛びつくはずのお子さんがそれに見向きもせず『お母さん、お米があるよ~』と嬉しそうに言っていたそうです。 ほかにも、やはり喜ばれるのはレトルト食品など、子供が一人でも“チン”して食べられるようなもの。子供が一人で食事をとる、孤食がさらに進んでいるように思います」
デザートのフルーツも、ぜいたく品
新鮮な野菜や、デザートのフルーツも、ぜいたく品。フードパントリーでも「やはり果物やお菓子は相当喜ばれる」という。 「以前、キウイフルーツを配ったとき『久々の果物だ』と多くの方から大変喜ばれたそうです。主食ならまだしも、嗜好品で出費がかさむのは厳しいとか。すごくギリギリな状態にあるご家庭が増えているのを改めて実感しました」