失速の引き金を引いたジャーナリストはその後指名ナシ

 小池氏は希望の党代表として国政復帰が囁(ささや)かれていた2017年9月、記者会見で「(解党して合流予定だった民進党のリベラル派を)排除します」と発言しました。この発言で希望の党は失速。総選挙で大きな勢力とはなれませんでした。

 その時、小池氏から「排除します」との答えを引き出したフリージャーナリストの横田一氏は、その後も小池氏の記者会見に出席しています。しかし、あれから4年近く挙手し続けても、全く指名されません。横田氏は毎回大声で質問を投げかけますが、小池氏は見向きもせず退席していきます。この対応は徹底しています。

高市氏「逃げずに受けて立った」との印象付けに成功

高市早苗、野田聖子、小池百合子が現場で記者に見せた顔とは
(画像=(画像:高市早苗議員 公式サイトより)、『女子SPA!』より引用)

 一方、どんな記者からの質問にも答えているのが高市早苗氏です。

 高市氏は今回の自民党総裁選挙への出馬表明記者会見で株を上げました。記者会見は通常1時間程度で終わることが多いのですが、高市氏は自身の掲げる経済政策「サナエノミクス」や「小型核融合炉」など、細かい政策を50分近くにわたって説明したからです。

 会場の記者たちからは「中身に賛否はあるけれど、細かい政策まで具体的に練って準備してきた」との声が聞こえてきました。高市氏は、記者たちからの質問に1時間近く答え続けました。

 記者会見全体の時間は1時間48分。司会者が会見終了を宣言すると、ここでも指名されなかったフリージャーナリストの横田一氏が大きな声を上げました。

「森友問題、再調査するんですか。一言答えてくださいよ。聞こえてんでしょ。安倍さんの傀儡(編集部注:かいらい。あやつり人形のこと)だと言われますよ」

 高市氏は「聞こえております」と返事をした上で、こう答えました。

「ご遺族の方々は本当に耐え難いお悲しみだと思います。お悔やみ申し上げます」

 再調査を約束する答えではありません。

「私がやりたいのは、今後、こういった文書の改ざんというのが絶対に起こらない、どこの役所でも起こらない、官邸の中でも起こらない、そういう体制をしっかりと作っていくということでございます」

 納得しない横田氏は再度呼びかけます。

「安倍さんに言われたんですか!」

 その言葉に笑みを浮かべながら、高市氏ははっきりと切り返しました。

「言われてません(笑)」

 質問を無視することもできたはずです。しかし、高市氏は丁寧に対応したことで「逃げずに受けて立った」という印象を持たせることに成功しています。