老齢年金を受給している一部の人に秋ごろに届く「扶養親族等申告書」。何の書類かよくわからないまま放置しておくと、年金の手取り額が少なくなってしまうかもしれません。扶養親族等申告書とはどんな意味がある書類で、どう処理すればいいのか、解説します。

「扶養親族等申告書」とは?

扶養親族等申告書は、年金にかかる税金を正しく計算するために必要な書類です。

老齢年金は、65歳未満なら年108万円以上、65歳以上なら年158万円以上受け取る場合に「所得税」と「復興特別所得税」がかかります。通常は毎回受け取る年金から源泉徴収されています。

ただ、源泉徴収は正確な税額ではなくあくまで概算で天引きしているものです。正確な税額を計算するためには、年金収入の金額だけでなく家族構成などの情報も必要になります。

そこで、老齢年金を受け取り中でいつも源泉徴収されている人に、家族の現状などを申告してもらうための書類が「扶養親族等申告書」です。

家族の状況によっては「控除」の適用対象になり、税金が安くなります。扶養親族等申告書を提出しないと家族の状況が反映されず、せっかく控除の対象になっていてもそのままの税額を支払うことになるため損です。

扶養親族等申告書は毎年9月~11月ごろに届きますので、無視せず提出期限に間に合うよう早めに対処しましょう。

扶養親族等申告書の書き方と出し方

扶養親族等申告書が届いても、提出しなくてよい人もいます。次の条件をすべて満たす人です。

・控除の対象になる「配偶者」や「扶養親族」がいない
・本人が「障害者」に該当しない
・本人が「寡婦」や「ひとり親」に該当しない

それぞれの言葉の定義は、手元に届いているはずの「扶養親族等申告書作成と提出の手引き」に詳しく記載されています。

提出方法

同封されている書類に記入して、同じく同封されている封筒に入れて郵送すれば完了です。自分で切手(普通郵便なら84円)を貼って出す必要があります。

インターネットに慣れている方なら、電子申請も可能です。「電子政府の総合窓口(e-Gov:イーガブ)」から申請でき、郵便代がかからずに済みますよ。

記入方法

書類は大きく分けて3つ、(1)提出年月日、(2)氏名、(3)控除の状況(障害者にあてはまるかどうかや扶養親族の氏名・生年月日・所得など)を記入します。表面と裏面がありますので漏れなくチェックしましょう。

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(出典:日本年金機構「扶養親族等申告書作成と提出の手引き(新規用)」)

扶養親族等申告書は毎年届きます。一度提出しておけば、翌年以降は「変更なし」を選択して提出するだけで済ませられるようになります。

年金の手取りに影響!書類提出を忘れずに

普段見慣れない難しそうな書類が届いたら、つい後回しにしたくなるかもしれません。でも扶養親族等申告書を提出しそびれると、本来支払わなくて済むはずの税金を支払ったままになり、年金の手取り額が少なくなってしまうこともあります。

書類によく目を通して控除の対象になるのか確認して、必要な場合は忘れず期限内に提出するようにしましょう。わからないことが出てきたら、日本年金機構の「扶養親族等申告書お問い合わせダイヤル:0570-081-240」に問い合わせることもできますよ。

文・ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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