「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自分の年金記録を確認すると、年金の加入履歴に予期せぬ未納期間(空白期間)が見つかることがあります。年金に空白期間があると、将来の年金が減るだけでなく、障害年金や遺族年金の支給にも影響します。そこで今回は、空白期間がある場合の原因とその対処法をご紹介します。

知らないうちに年金に空白期間ができる?

(写真=PIXTA)

転職したとき

会社員の人は原則として厚生年金に加入していますが、転職し新しい会社が決まるまでに期間が空くと、その間国民年金に加入する必要があります。具体的には月末にどこの会社にも在籍していなければ国民年金へ切り替えをしなければならず、手続きを忘れると未納期間が発生してしまいます。

扶養配偶者

本人の公的年金が変わる場合、扶養配偶者も注意が必要です。厚生年金と違い、国民年金には扶養という考えはありません。会社員でなくなったら扶養する配偶者の分も忘れず国民年金に切り替えましょう。

離婚したとき

婚姻関係を解消した場合、公的年金の変更手続きは自分自身で取らなければなりません。特に扶養配偶者だった場合、離婚後は自分で保険料を払わなければならず、手続きが遅れるとその間が未納期間になります。

空白期間があるとどうなる?

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将来の年金受給額が下がる

20歳から60歳まで40年間忘れず保険料を払い続けた場合、国民年金から支給される老齢基礎年金は満額の78万1,700円(2020年度)です。この支給額は保険料の納付月数で決まるので、空白期間が1ヵ月増えるごとに、約1,629円将来の年金は少なくなります。

わずかな額と思われるかもしれませんが、空白が1年になると約1万9,548円支給額が減り、65歳から85歳までの受給と考えると20年間で計39万960円の差になります。

障害年金・遺族年金が受け取れない可能性も

国民年金から支給される障害基礎年金や遺族基礎年金の支給要件に、「初診日または死亡日の前々月におけるすべての被保険者期間のうち、3分の2以上が保険料納付済期間または保険料免除期間であること」という項目があります。

ただし、この要件を満たしていなくても、特例措置として初診日または死亡日の前々月における直近1年間に未納期間がなければ給付を受け取れます。ただし、1年以内に未納期間があると「1年間の保険料済要件」も満たせなくなり、これらの年金を受け取れなくなるかもしれません。