この記事は書籍『マイホーム物件 得なのはどっち? 』の内容を抜粋したものになります。
前回の記事はこちら
※以下、書籍より抜粋
マンションは「北向き」と「南向き」どっちを選ぶ?
住まい選びのとき、「部屋の向き」を重視する人は多く、ほとんどの人は「南向き」を選びます。日当たりのよさという理由から、南向きの部屋は当然、人気があり、寒くて薄暗いイメージの北向きの部屋をあえて選ぶという方は少ないでしょう。
そのために新築分譲時は、人気の住戸が一極に集中しないように、価格が南向きは高く、北向きは安く設定されています。ところが購入者向けにマンション価格や評価などを提供している無料会員制サイト「住まいサーフィン」によると、中古の流通時には北向きは価格が11.4%上昇しているのにくらべ、南向きは5.4%値下がりしています。
ここでは、敬遠されがちな北向きの部屋の住み心地について考えてみましょう。北向きの部屋が住みやすいか住みにくいかというと、一日じゅう家にいることが多く、日当たりを重視する人にとっては不満に感じることでしょう。
ところが、「日中は仕事に出ていて夜型の生活をしている」「洗濯は基本的に部屋干しにしている」など、デメリットに向き合うことがないようであれば、北向きの部屋も候補に入れてみてもいいと思います。
しかも、「採光」と「眺望」という観点から見てみると、北向きもけっして悪くないということがわかります。まず採光についてですが、直射日光が差し込むように入ってくる南向きの住戸に比べて、北向き部屋は柔らかな光が長時間続くので、勉強や仕事など落ち着いた環境で作業したい場合は向いているといえます。
また、景色を眺めたとき、植栽の緑や空が美しく見えるのは北向きの部屋だといわれます。通常、植物は光合成をするため太陽の方向に首を向けるので、南向きだと草花がむこうを向いた状態を見ることになりますが、北からだと植物は表面を見せてくれます。
くわえて「ヌケがある、ヌケがない」という、眺望を評価する表現がありますが、隣の建物が迫っている南向きより、広い空間がある北向きのほうが快適なこともあります。
また、北側住戸は寒いという定説も、断熱がきちんとされた最近の住戸では、ほとんど影響がありません。私自身も北向きに住んでいますが、同じマンションの南向きに住んでいる方が私の部屋を訪れた際、室内温度は変わらないといっていました。逆に、南向きのマンションの最上階の場合、直射日光が強く当たるため夏場は暑くなることもあります。
もし、同じようなエリアで「いまいちのマンションの南向き」と「気に入ったマンションの北向き」が同じくらいの価格なら、私は北向きの住戸をおすすめします。
正解 こんなにある「北向き」のメリット
四宮朱美(しのみや・あけみ)
宅地建物取引士、マンション管理士、マンション管理業務主任者、ファイナンシャルプランナー、ホームステージャー。20代で自宅マンションを購入し、以後、数々の売却・買換えを経験、老朽マンションの建て替えにも取り組む。不動産・住まいの分野を歩み、住宅情報メディアの不動産広告を20年間制作。現在は、不動産や住宅に関する記事を取材・執筆するとともに、不動産購入に関するあらゆるサポートをする”不動産メキキスト”として活動。
【こちらの記事もおすすめ】
>女性を超える関心度!?「オトコの美活」意識調査結果
>住宅ローン控除(減税)をフル活用するための基本の「き」
>実はハイリスクなライフイベントTOP5。転職、住宅購入、結婚……
>2018年マンションの「駆け込み」需要が起きるってホント?
>じぶん時間がもっと増える「ちょこっと家事代行」3選