この記事は四宮朱美氏の著書『マイホーム物件 得なのはどっち? 』の内容を抜粋したものになります。

※以下、書籍より抜粋

「タワーマンション」と「低層マンション」どっちが得?

マンションを購入する際の物件選びで、「低層マンション」か「タワーマンション」かという建物の形状も重要な要素のひとつになります。

低層マンションとタワーマンションでは、同じエリアで暮らしていても、住み心地などに大きな違いがあります。

低層マンションや高層マンションには、明確な規定はないようですが、一般的に低層マンションは2~3階建て、中層マンションは3~5階建て、高層マンションは6階~20階建て、超高層マンション(タワーマンション)は階建て以上といったところではないでしょうか。ここでは低層・中層マンションをざっくりと「低層マンション」とし、高層・超高層マンションを「タワーマンション」として比較したいと思います。

低層マンションの多くは、第一種低層住居専用地域などの住居系の用途地域に建っています。これらのエリアは、建物の高さが10mまたは12mまでに制限されているため、周辺に高い建物が建つ可能性はほとんどありません。閑静で落ち着いた住環境の中にあります。

マンション向けのエリアではないので、大規模なマンションはほとんどありません。それだけに低層マンションの供給は限られています。人気エリアでは希少性があるため、すぐに完売する場合が多いようです。低層マンションは、タワーマンションのようにエレベーター待ちすることがありません。また、災害などでエレベーターが止まった際も、階段の上り下りがさほど負担にはなりません。

デメリットは、スケールメリットが得られにくい点でしょう。タワーマンションのような多彩な共用施設がなかったり、管理に関する費用が高めになることもあります。24時間管理ではなく、通勤や巡回の管理になることが多いマンションです。さらに、人気エリアであればその希少性から売却しやすいのですが、郊外ではマンションとしてのメリットが薄れるため、売却しにくいこともあります。

タワーマンションは、駅前の商業地域など利便性の高いエリアに建てられるケースがほとんどです。そのエリアにおけるランドマークとされるような物件であれば、売却価格が下がりにくく、市況によっては値上がりする場合もあります。しかし、同じマンションで同時期にたくさんの住戸が売りに出されると、値くずれが起きてしまう危険もあります。

また、スケールメリットを活かして、ゲストルームやフィットネス・ラウンジなどの共用施設が充実したマンションが目立ちます。いっぽう、地震の際には階段での移動が前提であること、高層階は風が強くて窓を開けられない、洗濯物が外に干せない......といったことも頭に入れておきましょう。

そして、いちばんの大きな違いは、マンションの敷地の持ち分の差です。一般的に、マンションの敷地は、そこの住民の間で土地の価値を按分します。具体的には、敷地全体の面積をそれぞれの専有面積割合で按分計算します。つまり、敷地面積が同じ1000m²の場合、「すべての住戸が同じ広さの専有面積で、総戸数20戸の3階建マンション」と「総戸数100戸の20階建マンション」だと、単純に土地の持ち分に5倍の差があることになります。

ふだんは気にかけないことですが、マンションが老朽化して建替えることになった場合に、この差がじつは大きいことに気づきます。エリアによる土地価格の差もありますが、土地の持ち分は建替えで取得できる新しいマンションの頭金になるので、その金額が大きいほど、建替えにかかる費用が抑えられます。

私自身も老朽化したマンションの建替えを体験しましたが、土地の持ち分が多かったので、住人全体が建替えに賛同しやすかったという経験があります。遠い将来の話のようですが、意外と大切なことです。

正解 低層マンションは建替えのとき有利

(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

四宮朱美(しのみや・あけみ)
宅地建物取引士、マンション管理士、マンション管理業務主任者、ファイナンシャルプランナー、ホームステージャー。20代で自宅マンションを購入し、以後、数々の売却・買換えを経験、老朽マンションの建て替えにも取り組む。不動産・住まいの分野を歩み、住宅情報メディアの不動産広告を20年間制作。現在は、不動産や住宅に関する記事を取材・執筆するとともに、不動産購入に関するあらゆるサポートをする”不動産メキキスト”として活動。

*『マイホーム物件 得なのはどっち?』シリーズ
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