第17代「うたのおねえさん」として、1993~1999年まで『おかあさんといっしょ』(現・Eテレ)に出演し、「だんご3兄弟」の大ヒットで『第50回NHK紅白歌合戦』にも出場した茂森あゆみさん(49歳)。
現在は17歳と12歳の男の子、10歳の女の子のママとして子育てをしながら芸能活動をしています。前編では、『おかあさんといっしょ』時代や子育てについて話を聞きました。
大学4年生で「うたのおねえさん」に
――茂森さんは、いつ頃からうたのおねえさんになりたいと思うようになったのですか?
茂森あゆみさん(以下、茂森):私はオペラ歌手を目指して音大に通っていて、大学院に進もうと考えていたんです。だから、うたのおねえさんになることを意識したのはオーディションを受けてからでした。
当時、うたのおねえさんは音大生の中からオーディションで選ばれていたのですが、私が大学3年生のときに募集があって、恩師の教授に「オーディションの練習になるから受けてみなさい」と勧められて受けることにしました。クラシック音楽しかやっていませんでしたし、受け答えの練習もしていなかったので、質疑応答でもトンチンカンなことばかり言っていた気がします(笑)。あとからディレクターの方に「他の人とは違う感じがすごくよかったよ」と聞きました。
自分の中では「オペラ歌手を志望していたのに、こっちに進んでいいのかな?」「選ばれてすごく嬉しいな」という両方の気持ちがあって揺れていました。
――うたのおねえさんになる決心した理由は何だったのでしょうか?
茂森:周りの方に聞くと100人が100人とも「絶対になるべきだ!」と背中を押してくださったんです。就任した当時は大学4年生だったので学校に通いながら出演することになりました。
体力をつけるためにジム通いも
――学業との両立は大変だったのでは?
茂森:当時のスケジュールは、日曜と月曜は東京のスタジオで3本ずつ収録があり、火曜は次の週のレコーディング。水曜日は翌週のリハーサル。そして木金土で地方での番組収録に行ったりしていたので、お休みが無いことがよくありました。NHKと音大で話し合ってくださって、火曜と水曜の午前中は学校に行かせてもらって、終わってから撮影に行っていました。
――かなりハードなスケジュールですね。
茂森:最初の半年で体重が大幅に減りました(笑)。うたのおねえさんに決まったとき、プロデューサーの方に「うたのおねえさんは、1に体力、2に気力、3・4も体力。5で歌かな」と言われていたんです。絶対に風邪を引いてはいけないので、体力を付けるために大学を卒業してからは時間が少しでもできたらジムに通っていました。
――番組収録での苦労はありましたか?
茂森:お子さんたちとのスタジオの現場は本当に楽しくて、みんなが心癒されるひとときでした。いつもテレビで見ているので、子どもたちにとってスタジオは初めての場所ではなく、“ホーム”なんです。「おにいさん、おねえさんとお友達になろう!」とテンションを高めてきてくれるのでとてもやりやすかったです。
収録中は私もテンションを上げているのですが、終わると疲労困憊で帰りの電車でもフラフラ、玄関についた途端倒れこむことがよくありました。