「かつての常識は非常識」定期的な見直しが必要
――ここ数年、ブラック校則に反対する声も非常に多いのに、学校はなぜ変わらないのでしょう?
「悪質な校則が存在する理由の一つとして、特に歴史のある学校では『数十年前に制定されてから何も変わっていない』という点も上げられます。私が子供のころを思い返してみると、小中学生は髪を染めることもありませんでしたし、下着売り場では白の下着が多くを占めていました。
そういう時代に制定された校則なら、『髪を染めるのは悪』、『白以外の下着は淫ら』という考え方も理解できます。しかし男女差別や人種差別が現在では許されないことであるように、かつての常識は現在の非常識ですので、定期的な見直しを義務化すべきだと思います」
ブラック校則の改善が難しい理由
――SNSではブラック校則に反対する教師も多くいるようですが、そういった教師や保護者でできることは何だと思いますか?
「ブラック校則の改善が難しい理由に、『生徒や児童、保護者から働きかけにくい』という点があります。生徒が働きかければ教師からの心象を悪くし、内申点への影響や高校への推薦が受けられないなどの不利益を被る可能性があります。保護者による行動も同じですよね。
署名サイトの利用やSNSを利用して世論を味方にすれば……とも思いますが、インターネット上で話題になると誹謗中傷や人格否定のような発言を受けることになります。近年でしたら堀越学園の恋愛禁止という校則やトランスジェンダーの生徒さんが女子用制服を強制されたことについての訴訟がありましたが、ネット上には『ルールの存在を分かっていて入学したのだろう』、『その程度は守らないとろくな大人にならない』といった意見もたくさんありました。誹謗中傷は大人であっても精神的にダメージを受けますので、未成年の生徒や児童ならなおさら……と思います」