1人が陰性なことで、社会復帰がさらに遅れるという皮肉

 4人家族のうち4歳の子どもだけが、感染したきょうだいと共に行った検査で陰性。特に症状もなく、「濃厚接触者」となった。しかし皮肉なことに、家族のうち1人だけ陰性となったことで、一家が完全に元の生活に戻れる時期の目途が先延ばしとなった。

新型コロナ「一家で自宅療養」の壮絶さ。「39度の熱でも子供の世話しないと」
(画像=『女子SPA!』より引用)

厚生労働省の基準で、「感染者」は元の生活を送れる目途として「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」と定められている。ところが「濃厚接触者」の場合は「感染者と接触した後14日間は不要不急の外出を控える」と定められている。  つまり、仮に妹夫婦が完全に社会復帰が可能となった後でも、濃厚接触者となった子どものケアのためにその後さらに2週間は仕事ができなくなるのだ。育児との両立のため、現在パート従業員として働く妹にとって、収入的には大きな痛手である。

参考 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)問3・問4

お節介なくらいの安否確認やサポートを

 今回の件で実感したのが、自宅療養には、少しお節介なくらいの安否確認やサポートが必須だということだ。

 妹の場合には運良く、食料や日用品を届け、しつこく安否確認をする家族が身近にいた。しかし、1人暮らしの場合や、近所に助け合える人がいない環境の場合、療養中に欲しい物や助けて欲しいことを伝える相手がいないケースもあるかもしれない。

新型コロナ「一家で自宅療養」の壮絶さ。「39度の熱でも子供の世話しないと」
(画像=『女子SPA!』より引用)

育児や介護など「ケア」を担う人が感染した場合、症状の重さによっては、必要なケアを施すことができなくなり、「ケアされる側」の健康や安全までも危険にさらされる可能性もある。四六時中、目と心が離せない乳幼児や要介護者をケアする人たちの自宅療養の苦労は想像を絶する。

 今、自分で自分の身を助ける「自助」が大切で、感染も「自己責任」とされる空気がある。しかし、つながりがある人達による「共助」と、しかるべき人に必要な医療資源が割り当てられる「公助」がいかに大切かを、身を持って感じている。

 この1週間、滅多に愚痴や弱音を吐かない妹は「迷惑をかけてごめん」と何度も言ってきた。私たちは感染症対策をしながらも、お金を稼がないと生活はできないし、子どもと社会を完全に遮断し続けることは難しい。誰もが新型コロナウイルス感染のリスクにさらされている今、「ごめん」と言わずに済む空気が訪れて欲しいと願う。

<文/女子SPA!編集部>

提供・女子SPA!



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