思いやりの言葉を伝え合える関係が理想

「1つは、『ありがとう』『ごめんね』『大好き』といった思いやりの感情を言葉で伝え合えること。これは、私の思う対等な夫婦関係にとって不可欠かもしれません。どちらが家事を何%やるといった話をする前に、お互いの存在や働き、思いやりを尊重し合える関係が、ベースとして大切なのではないでしょうか。  あとは、夫婦それぞれが経済的に自立していることも、私たち夫婦の場合には欠かせない要素だと思っています」

日本の男性は特に、感情を言葉で伝えたり、愛や感謝の言葉を伝えたりするのが苦手な人は多いイメージです。それに、妻や彼女が色々やってくれることを“当たり前”と思っている男性も、まだまだ多い印象です。筆者もパートナーの言葉が足りなさすぎて、過去何度もキレたことがありました(笑)。

ジェンダーを学び、夫のそっけない返事も「仕方ない」と理解した

「元々、夫は何かあっても『うん』とそっけない返事で済ませるタイプでした。でも、こうした夫の対応も、ジェンダーを学ぶ中で、仕方ないんだと理解したことがあります。  おおたとしまささんの書籍の中で“男の子は男の子のチカラを最大限発揮できるような環境で育つ。そんな中で、女性の体のことやジェンダーの問題を理解するといった視点は、なかなか自然に持てるものではない”といった記述があり、とても腑(ふ)に落ちました」

 こうしてフラットなジェンダーへの理解を深めていった牧野さん。自分には自分の、夫には夫の知らないところで、ジェンダーバイアスがかかっていたことを改めて知り、今ではコミュニケーションの取り方1つとっても、再構築をしている最中だといいます。

「今は話し合いを重ねる中で、だんだんと夫からも尊重や感謝の言葉が増えてきているように感じます。私もそれに対して『嬉しいよ、ありがとう』と伝えるようにしています。とはいえ、今の段階での夫婦の満足度はまだ15%程度ですけどね(笑)」

 こうした気付きや改善は夫婦にとってとても大きかったものの、それができたことで対等なのではなく、「対等な夫婦関係を構築していくスタートラインに立てた」という段階だと牧野さんは言います。