すごーく愛情深い人だと感じた
この二冊を読んで感じたのは、光浦さんがすごーく愛情深い人だということ。
清水ミチコさん、森三中黒沢さん、たんぽぽ白鳥さんや、大竹まことさんなどの親友枠から、共演者、近所の子どもたち、実際には会ったことのないテレビで見る海外の政治家、猿山のサルたち、犬の尻に至るまで、とにかく生き物が大好きで、鋭くも深い愛情あふれる目で見つめているということです。
例えば、黒沢かずこさんのブローチ。
黒沢かずこ『私が作って私がときめく自家発電ブローチ』より「恥ずかしがり屋で、ワイプで抜かれている自分に気づいた途端に顔が固くなります」
「上手に笑う人は素敵ですが、笑うのが下手な人にシンパシーを感じます」
こんな瞬間を切り取るのは、愛情なくしてはできないこと。
土井たか子さんのフォトジェニックな怒りジワを50代、60代、70代と定点観測的に表現しようなどと思う人は世界中でも、まず他にいないでしょう。
自分でときめきを作る「自家発電」という発想
光浦さんは愛情とともに、すごく熱量の多い人。 人に会いたいのに会えないから、ブローチを作るという「自家発電」は見習いたいですね。
年齢を重ねるにつれ、見るもの聞くもの触れるもの、いろんなものが既知の存在になってきて、ときめきが薄れてしまいそうですが、「推し」がいる生活も良いですし、「推し」がいないのであれば自分でときめきを作る「自家発電」という発想は非常に重要だと思いました。
それに、50歳近くで歯列矯正をしたり、インナーカラーで髪を緑にしたり、英会話スクールに通ったり、さらに留学まで……。
同世代の自分などは、人生100年時代と聞くたびにすでに失ったものや不可逆な不調などがたくさんあるのに、まだ折り返していないのか…と絶望したり、うんざりしたりしています。
でも、「歳をとると、知らんところで人を勇気づけられるようです」と光浦さんも書いているように、実際、同じことを20代30代の方がやっても「いいなー」「ふーん」と羨(うらや)ましさや、下手したらやっかみすら感じて終わるかもしれないところ、人生後半戦でやろうというのは、それだけで尊い感じがありますし、周りに勇気を与えます。実際、自分も頑張らなきゃなという気がしてきます。
「人生の後半戦は自分で自分を育てる」という視点は、ぜひ見習いたいモノ。独身の方だけでなく、既婚・子持ちの方にとっても、むしろ子育てより気負わず、無理せず、楽しく育てていける気がします
<文/田幸和歌子> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 田幸和歌子 ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon
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