30歳の時にスタイリストになる決心をして退職
――そこからスタイリストになるまでは、どんなことがありましたか?
亘「ちょうど30歳の時だったので、一年間悩んで。ダメならまた別のことをしたらいいかと思い、決心して退職し、スタイリストになりました」
――誰かのアシスタントに就いたりなどはせず?
亘「はい、いきなり。わたしにスタイリストを勧めてくれた『DUNE』という雑誌で仕事をさせてもらいました。ギャラはなかったけど、その代わりストーリーも組めたし、海外撮影もできたし、好きなことをたくさんやらせてもらいました。海外の有名なカメラマンとも仕事することができたのは、すごくいい勉強になったし、なにより楽しかったですね。でも、月刊の女性誌からの仕事は来なかったですね。誰もわたしのことなんて知らないし」
――営業には行かなかったんですか?
亘「一切行きませんでした。行ったところですぐ仕事に繫がるとは思わなかったので」
意志を持って続けていれば、道は開ける
――いきなりスタイリストデビューしたことで、壁はありませんでしたか?
亘「ずっと壁ですよ。ちゃんと仕事が来るようになったのは、仕事を始めて7年経ってからです。それまでは『DUNE』の仕事しかしていませんでした。少しずつ、『CUT』などで『DUNE』で一緒になったカメラマンが指名してくれたりして。誰にも何も教えてもらえないから、すべて現場で覚えていく感じです。だからモデルのマネージャーから怒られたり」
――「今日からスタイリストです」と言えば、なれるものなんですね。
亘「わたしがそのいい例だと思います。ただ、仕事が来るようになるまでには、本当に時間がかかりました。でも、その意志を貫き通せばやれるんだという証明にはなりますよね。為せば成る」