長引く新型コロナウイルスの影響で「収入が減った」「仕事がなくなった」という方も少なくないでしょう。もし支払いが厳しい状況に追い込まれたら、国民年金保険料の免除を申請してみてはいかがでしょうか。

国民年金保険料は免除の申請ができる

自営業・フリーランス・無職など「国民年金第1号被保険者」に該当する方は、国民年金保険料を毎月支払う必要があります。ただ、この出費は月1万6,000円程度と、収入が少なくて生活が苦しいときには痛手となりかねません。

そこで、収入など一定の要件を満たした人はこの支払いを「免除」できる制度が用意されています。

免除とは

収入が減ったり失業したりして年金保険料の支払いが難しくなったら、未納のままほったらかしにするのではなく「免除」の手続きをするのがおすすめです。この手続きをしておけば、所得に応じて保険料支払いの負担が軽減されます。

通常どおり全額の保険料を支払ったときよりも将来受け取れる年金は少なくなりますが、未納のまま放置するよりは減らずに済みます。10年以内なら、あとから余裕が出たタイミングでさかのぼって支払うこともできますよ。

免除には「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があり、収入や家族の状況などに応じてどれくらい免除されるかが変わります。

支払い義務がなくなる「免除」だけでなく、支払期限を延長してもらう「猶予」もあります。

新型コロナが原因なら「臨時特例免除申請」の対象になる

新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った場合には、「臨時特例免除申請」の対象になります。「臨時特例」ということで、通常の免除より簡易的な手続きで受け付けてもらえます。

2021年8月現在、「2020年2月~2022年6月」までの期間の免除申請手続きが可能です。

どれくらいの収入なら免除になる?

収入がいくらならどの免除の対象になるのか、目安を確認しておきましょう。

・2021年度の免除基準(所得の目安)

コロナ,収入,減少,年金,免除
(画像=日本年金機構)

扶養親族等控除や社会保険料控除の金額は、家族構成などによるため1人1人違います。源泉徴収票や確定申告の書類に記載があるはずですので確認してみましょう。

1人暮らしなら、収入から経費や控除を引いた金額が67万円以下の場合に「全額免除」の対象になります。夫婦2人世帯なら102万円が目安です。

免除を申請したいときは

免除を申請したいと思ったら、「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」と「所得の申立書」を用意して提出しましょう。

書類は市町村役場や年金事務所で受け取ってその場で記入して提出することもできますが、新型コロナの感染予防のため、現在は「自宅で書類をダウンロードして郵送」という方法が推奨されています。

必要な書類はどちらも、日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。記入例も確認できますよ。(参考:日本年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について」

記入方法や免除額など何かわからないことが出てきた場合は、役所の窓口だけでなく「ねんきん加入者ダイヤル(電話相談窓口:TEL 0570-003-004)」で相談することも可能です。

苦しいときは免除制度を頼ることも検討しよう

新型コロナで収入が減ったら、国民年金保険料の免除の対象になるかもしれません。全額免除を受けていれば、保険料をまったく納めていなくても単なる「未納」より将来受け取れる年金額が多くなります。

将来の年金を確保しつつ今の支払いを抑えられますので、こうした制度を活用しつつ、苦しいときをなんとか乗り切りましょう。

文・ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

【こちらの記事も読まれています】
2022年からの新年金制度、得をするのはこんな人!
年金未納を続けた人の悲惨な末路 当てはまる人は要注意
年金記録の「空白期間」放置は危険?今すぐ対策をとって年金を守ろう
年金は「繰り下げ受給」がお得って本当?メリット&デメリットを解説!
個人年金保険で確実に老後資金を貯めるつもりが失敗…その理由は