アナリストの情報にも注意が必要である

もう一つ。ファンドマネージャーと並んで「プロ」と呼ばれる存在にアナリストがいる。

アナリストには2種類の人間がいる。

「セルサイド・アナリスト」と「バイサイド・アナリスト」だ。セルサイド・アナリストは金融機関で顧客に情報を提供する。バイサイド・アナリストは運用会社に属し自社に対してのみ情報提供を行う。

バイサイド・アナリストの調査レポートは「社外秘」で個人投資家が目にすることはない。新聞やニュース、ネット上で誰でも目にすることができるコメントは「セルサイド・アナリスト」が作成したものである。

アナリストは必ずしも中立ではないことを、察して頂けるだろうか。あなたが目にする相場情報の多くは「商品を買わせたい」というフィルターがかかっているものなのだ。

投資の世界は透明かつ公平であるべきだ

銀行や証券会社は、この世に存在する全ての投資信託を取り扱っているわけではない。そんなことをすれば、とんでもなく事務コストがかかるばかりか、販売現場は混乱を極めるだろう。銀行や証券会社各々が取り扱う商品を選定しているのだ。

だが、その選定基準も曖昧だ。顧客のためを考え商品選定が行われているわけではない。他の銀行や証券会社でよく売れているからという理由で取扱が始まる商品もある。

なかにはちょっとした「オトナの事情」で取り扱わざるを得ない商品もある。興味のある方は、四季報で銀行や証券会社の株主欄を見て頂きたい。たとえば、地方銀行の中には保険会社が大株主となっているところもある。保険会社が系列に投信会社を持っているなら、大株主としてはその会社が運用している投資信託を銀行で販売して欲しいと考えるだろう。

投資の世界は透明で公平であるべきだ。

しかし、現実には個人投資家は様々な点において不利と言わざるを得ない。だからこそ、銀行員はできる限り公平で客観的な情報提供を行うべきなのだ。

「プロが運用しているから安心です」とセールストークする銀行員には、くれぐれも注意されたい。

文・或る銀行員/ZUU online

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