企業年金のひとつである厚生年金基金は、今では新規に設立することができず、今ある基金も解散するか確定給付企業年金へ移行することが促されています。それでは、現在厚生年金基金に加入している人や、昔加入していた人の年金はどうなるのでしょうか。基本情報とともに確認していきましょう。

厚生年金基金は企業年金制度のひとつ

企業年金は大きく次の3つがあります。

・厚生年金基金
・確定給付企業年金
・確定拠出年金(企業型)

それぞれ詳しく見てみましょう。

・厚生年金基金
厚生年金基金は受け取れる額が確定している企業年金制度で、厚生年金の一部を代行する特徴がありました。

しかし法改正のため新規設立ができなくなり、現在ではほとんど実施している企業はありません。

・確定給付企業年金
厚生年金基金と同じく、受け取れる額が確定している企業年金制度です。3つの企業年金の中で最も多く導入されています。

導入企業は退職金のためのお金を企業年金に積み立てておき、その運用方法も企業が選択します。会社員にとっては給付額が決定しているので安心感がある制度ですね。

・確定拠出年金(企業型)
受け取れる額が変動する企業年金制度です。積立金への拠出は原則企業が行いますが、その後の運用は加入者(社員)が行います。

加入者は預貯金や保険商品などの「元本確保型商品」とリスクのある「投資信託」から選択し、運用の結果に応じ受け取れる額が決定されます。

先述した「確定給付企業年金」の場合は、規約によっては途中退職でも一時金としてもらえる場合があります。しかし「確定拠出型年金」は途中退職した場合、その時点で受け取ることはできません。

確定拠出型年金は原則60才まで受け取れないため、転職先の確定拠出年金に移行するか、個人型の確定拠出年金(iDeCo)へ移行することになります。

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企業年金はいつから受け取ることができる?

厚生年金基金では、一般的に3年以上勤続した場合に脱退一時金を受け取ることができます。老齢年金は10~15年以上加入した場合に60歳もしくは公的年金の支給開始年齢から支給されます。老齢年金の支給開始前に手続きをすれば、一時金で受け取ることができます。

確定給付企業年金は、3年以上勤続すれば脱退一時金を受け取ることができます。老齢年金は会社によって異なりますが、規約型は、退職年齢が50歳以上で20年以上勤続した場合に支給されます。基金型は、基金のルールで定めた期間以上に加入した場合、60歳あるいは公的年金の支給開始年齢になったときに支給されます。いずれも、老齢年金に代えて一時金を受け取ることもできます。

確定拠出年金は、3年未満や年金資産が少額で退職した場合などの条件を満たせば一時金を受け取ることができます。老齢年金は60歳~70歳の間で年金か一時金で受け取ります。

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厚生年金基金は今後無くなるので注意

厚生年金基金が他の企業年金と異なる点は、2階部分の「厚生年金」の給付を一部代行し、プラス会社が独自に上乗せ給付を行っている点です。

しかし、社会情勢の低迷などで、上乗せ給付ができないどころか、代行部分の積立不足まで生じるようになりました。代行部分はそもそも会社員であれば加入しなければならない公的年金なので、会社がこの部分を払えないと公的年金に不平等が生じてしまいます。

このような問題を受け、厚生年金基金の存続の基準が厳しく見直された結果、2014年4月以降は新規に厚生年金基金を設立することができなくなりました。また、今ある基金も解散するか確定給付企業年金への移行が促されています。

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今まで掛けてきた年金はどうなる?

では、これまで厚生年金基金に掛けてきたお金はどうなるのでしょうか。前述の通り、今後の基金は解散するか別の企業年金(確定給付企業年金)に移行することになります。

まず、どちらのケースにおいても、これまで拠出してきた額のうち、厚生年金に必要なお金は国に納められます。これにより、将来他の会社員と同じように厚生年金を受け取ることができます。

厚生年金の部分を国に納めた後、まだ基金にお金が残っていれば、その分は将来のプラスアルファの支給に回されます。会社が確定給付企業年金に移行すれば、その企業年金の積立金に回されますし、基金が解散した場合は「企業年金連合会」という機関から支給されることになります。

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最新情報と自分がもらえる年金をマメにチェック!

年金の制度は時代とともに改正を繰り返しています。厚生年金基金は一昔前まで人気の企業年金でしたが、今後は徐々に解散や他の制度に移行していくことになります。制度が変わるときは「企業年金連合会」などから通知が届くはずですので、必ず確認し、不明点があれば会社に問い合わせるようにしましょう。

文・fuelle編集部

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