夏といえば、バーベキュー。大自然のなかで食べる肉は格別ですよね。コロナ禍で、大人数で集まることは難しい状況ですが、家族で楽しんでいるという人も多いのではないでしょうか。
「肉が焦げた!」「生焼けだ!」などのトラブルも“バーベキューあるある”ですが、できれば避けたいもの。そこで今回、バーベキューのプロとして、全国を飛び回る“焼師”の中村圭一さんに、バーベキューの極意を聞きました。
前編では「肉の選び方、肉の焼き方」について紹介します。バーベキューできる場所がない!おうちでバーベキュー気分を味わいたい! という人向けに、ホットプレートで美味しく肉を焼く方法についても教えてもらいました。
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バーベキューのプロ、焼師とは?
――「焼師」という仕事について教えてください。拠点は福岡で、東京から北海道、そして海外にも出張しているそうですね。
中村圭一さん(以下、中村):バーベキュー食材の調達、仕込み、火起こしから片付けまで全部やります。フルアテンドですね。海外に出張する時は食材を持っていけないので、当日か前日に現地入りしたらすぐ、肉屋と八百屋と魚屋、スーパーを回り、何があるのか調査します。
――もともとバーベキューマニアだったとか、グリル屋さんで働いていたとか?
中村:いえ、医療機器メーカーの営業をしていました。患者さんと直接お話しするわけではなく、対ドクターとか対病院なので、法人営業に近いですね。僕もオペ室に入るので、患者さんに近いポジションではあったんですけど、その後の経過をみることはできないし、退院するときも立ち会えないので、心にぽっかり穴があいたような感じがあったんです。それで、29歳のときに会社を辞めて、語学留学や海外インターンをしていました。
BBQの魅力は“反応がダイレクト”
――そこでバーベキューと出会ったのでしょうか?
中村:帰国後ですね。今までのキャリアが医療系なので、次も医療機器メーカーだろうと思っていて。帰国後は就活をして内定をもらって……入社まで時間があいていたんですよ。
ちょうどそのとき、知り合いから「バーベキューの社長に会いに行くんだけど、一緒に行かない?」と声をかけられて。“バーベキューの社長”って謎じゃないですか。興味がわいたので会いに行きました。その会社は、バーベキューの道具貸出サービスとかではなくて、準備から片付けまで、フルアテンドだったんです。そこで「空いてるときでいいから手伝ってくれない?」と言われて、医療機器メーカー入社までの間、ほぼ毎日バーベキューをしていました。
――バーベキューにハマったんですね。
中村:バーベキューは、良くも悪くも反応がダイレクトなんですよ。来てくれているお客さんのために、食材を調達して、仕込んで、焼いて……自分がすべてやるんですね。
今までは、エンドユーザー(患者さん)の反応が見れなかったんです。なのでバーベキューは、医療機器メーカーの営業時代に感じていた穴が埋まるような気がしました。「このまま医療機器メーカーに就職するのは違うな」と思ったので、内定を蹴ってしまいましたね。