多くの人が火災などの災害に備えて加入している火災保険。実は「テレビを壊してしまった」など一見災害と関係ないときでもお金が受け取れる場合があります。知らないまま放置していたら支払っている火災保険料がもったいないですよ。どんな場合に受け取れるのか、確認しておきましょう。
テレビが壊れたときに保険が使える!?
自分が加入している火災保険の補償内容を細かく覚えているでしょうか。「完璧に把握できている」という方は少ないかもしれません。
もし「家財(家具や家電など)」が補償対象になっていて「汚損・破損特約(保険会社によって特約名が多少異なる場合もあります)」が付いている場合、例えば以下のようなときに保険金を受け取れる可能性があります。
・子どもが遊んでいて物を投げたらテレビにあたって画面が割れた
・掃除中に電源コードに引っかかり電化製品を棚から落として壊した
・パソコンで作業中、誤ってキーボードにコーヒーをこぼして壊した
契約内容を確認して「家財」ではなく「建物」だけが補償対象になっている場合でも以下のような場合は、保険金を受け取ることができるかもしれません。
・模様替えで家具を移動させたときにぶつけてドアを壊してしまった
・掃除中に掃除機を窓ガラスにぶつけてガラスにひびが入ってしまった
・子どもがボールで遊んでいて窓ガラスを割ってしまった
ドアや壁など建物自体にダメージを与えたときは、対象になる可能性があります。
汚損・破損特約とは
先述の例は、いずれも災害とは関係なく日常生活にありがちなうっかりミスのようにも見えます。でも加入している火災保険に家財の補償と汚損・破損特約が付いている場合は「不測かつ突発的な事故」で汚損や破損が発生したとみなされれば保険金が受け取ることが可能です。
「不測かつ突発的な事故」とは、予測できない状態かつ突発的に発生し事故の原因や事故日がはっきりしているものを指します。
そのため同じテレビが壊れた場合でも以下のようなケースは、対象になりませんので注意が必要です。
・長年使ったことでじわじわと劣化が進んだ結果使えなくなったとき
・単に傷が付いただけで機能が通常通り使える状態のとき
・わざと壊したときなど
また自分で修理したり再購入したりした後だと保険金を受け取れない場合がありますので破損や汚損が起きたら直す前に早めに保険会社に連絡しましょう。保険金請求をする場合は、基本的に破損や汚損した商品の業者の見積書が必要です。
意外と広い!火災保険の補償範囲
火災保険は、火災・地震・水災・風災などの災害や汚損・破損以外にもさまざまな補償が可能です。以下の例はすべて対応する補償や特約が付与されていれば保険金を受け取れる可能性があります。
・外から飛んできたボールで窓ガラスが割れた……建物・「外部からの飛来・衝突」の補償
・洗濯機の蛇口から水が漏れて部屋が水びたしになった……「水漏れ」の補償
・飼い犬が他人を噛んでケガをさせた……個人賠償責任特約
・他人にケガをさせられたので弁護士に依頼して損害賠償を請求する……弁護士費用特約
・留守中に空き巣に遭った……家財・「盗難」の補償
・帰宅中にひったくりに遭った……家財・携行品損害特約
※補償名や特約名は、保険会社によって多少異なる場合があります。
まとめ:自分の保険内容を把握しておこう
「うっかり壊してしまった」「他人に被害を与えてしまった」といった事態が起きたときは、気が動転してしまい「加入している火災保険が対象になるか調べよう」とはならないかもしれません。
せっかく火災保険料を支払っていても対象となる保険金を申請しないのではもったいないです。保険金の請求漏れとならないようにするためには、定期的に加入している火災保険の契約内容をチェックして「いつどんなときに受け取れるのか」について再確認しておくことが大切です。
対象になるか分からない場合は、保険会社に問い合わせすれば教えてもらうこともできますよ。
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
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