投資成功者が必ず実践した投資上達法とは?

「机上の空論」という言葉があるように、頭の中だけに蓄えられた知識や理論は、実践して成果を求めていく上で一定の限界がある。特に株式投資は強い感情にさらされ続ける行動なので、知識や理論を知っていても、感情に邪魔をされて適切な行動を続けられない事態に陥る。株式投資で成功するためには、蓄えた知識や理論を適切な行動に移すための訓練も必要になる。

脳科学者の茂木健一郎氏は、著書『脳をやる気にさせるたった1つの習慣』の中で、次のように書いている。「脳は自分が考えていることを常に把握しているわけではありません。むしろ一度外部に出力してみないことには、本人も何を考えているのか分からないのです」

強い感情の刺激に促され、頭の中で考え、判断して投資を行っても、一向に望む結果が得られないのは、私たちの脳の持つ非常に曖昧な特徴に他ならないのだ。このことを学べば、株式投資家には、自分自身の判断や行動を、脳の中から外部に出力する作業、すなわち書くという行動が必要になる。

書籍『マーケットの魔術師』の中で、スーパートレーダーのデビット・ライアンは、著者でありインタビュアーであるジャック・シュワッガーのインタビューに、次のように答えている。「株を買ったら、いつもその理由を書いておく。こうすれば値上がり銘柄の条件を胸に刻みつけることができる。もっと大事なのは、そうすることにより自分の間違いから学ぶことができるということかな」

昔から、プロの運用者、トレーダーの世界では、日々の売買の記録、すなわち投資日記や投資日誌をつけることが推奨されている。日々の自分の考えや判断、行動を書き残し、後から振り返ることで、結果と照らし合わせて、自分の思考や感情、行動を是正していく。この投資日記・投資日誌こそが、個人投資家に欠落している投資の上達法だ。

初心者の株式投資家であれば、実際の売買を開始する前に、投資日記をつけて欲しい。なぜなら、日々の株式市場の観察の中で、自分自身の考えや判断が、いかにその後に利益を生み出さないかを、事前に把握することができるからだ。

実際に、私もこの教えに触れ、投資初心者であった1年目のある時期から、毎日投資日記をつけた。日々、自分の考えを書き記し、後から振り返る時、自分の考えや判断が市場の値動きにマッチせず、利益につながらないことを痛感した。この段階で、売買を始めたとしても、利益が上がることなどなく、資金が減り続けるだけだ。投資日記をつけることで、事前に自分自身のその状態に気づいて欲しい。

投資日記に残す「7つの項目」

最後に、投資日記に書く内容と、その方法を説明する。1.日時、2、観察した市場や銘柄、3.観察した時点の価格、4.その時のあなた自身の方向性や売買の判断、5.4の判断を行った理由、6.その時の感情や気持ち、7.その他、これらを参考に投資日記をつけ始めて欲しい。

特にこの中でも重要な項目は、5の判断理由や6のその時点の感情や気持ちだ。これらは、後になって思い出そうとしても、絶対に思い出すことのできないものであり、これこそが貴重な記録・証拠となる。さらにアドバイスを続けると、投資日記の目的は、日記をつけることではなく、最終的に投資で利益を上げることだ。そのためには、定期的に過去の日記を振り返り、自分の株式投資に対する考えや判断を確認し次の売買に活かす必要がある。

これを繰り返す中で、売買判断の精度が上がってきたことが確認できれば、小さく実践を開始し、期待通りの結果へと結びつけて欲しい。投資日記は、私が初心者の個人投資家に必ず実施すべき行動として教えている投資上達法なのだ。

文・松下 誠(まこと投資スクール株式会社 代表取締役)/ZUU online

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